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参院選重点政策寸評

2001/6/10 大塩平七郎、50代、労働者

 日本共産党第二回中央委員会総会(二十九日)決定「第十九回参議院選挙にあたっての日本共産党の訴えと重点政策」寸評

 同「政策」中の「国民の納得と合意で段階的に自衛隊=軍隊をなくし、憲法九条の完全実施をめざします」について一言発言します。
 この「節」での記述は次の通りです。「日本共産党は、憲法九条の完全実施にむけて、国民の納得と合意を尊重しながら、第一段階では、安保廃棄以前にも、戦争法の発動や海外派兵の阻止に全力をあげ、軍縮の方向に転換する、安保条約がなくなる第二段階では、対米従属的な関係の解消、大幅な軍縮など、自衛隊の民主的改革に取り組む、第三段階では、国民の合意を見定めながら、憲法九条を完全実施するため、自衛隊解消にむけて本格的な措置をとる――の三つの段階をへて、自衛隊解消をめざします。日本が安保=軍事同盟からぬけだして中立の道を歩み、諸外国と本当の友好関係を結び、道理ある外交によって世界平和に貢献すれば、常備軍によらずに安全を確保することが二十一世紀にはかならず可能になります。」
 さて、昨年の第22回大会決議のいわば目玉であった「自衛隊活用論」はどこへ雲隠れしたのでしょうか。今回の重点政策では、訴える必要のない政策だったのでしょうか。もとより、今回の発表に至った経緯を知るよしもありません。しかしながら、上田耕一郎氏によって「完璧な」とまで絶賛された自衛隊政策を棚上げしてしまうのはいかがなものでしょうか。同大会での討論で、参議院比例代表候補の一人京都の井上哲士代議員は次のように述べています。「(前略)段階的解消の過程で、『必要にせまられた場合には存在している自衛隊を国民の安全のために活用する』という理論的回答もたいへん現実的な力をもったものだと思います。基地の町であり、朝鮮半島が目の前にある舞鶴の町では、さまざまな脅威論の影響はとりわけ大きいものがあります。この疑問に答えることなしに党としての責任をはたすことはできません。その際、昨日の報告が強調したように、「『急迫不正の主権侵害』がおこったときに、国民に抵抗をよびかけながら、現に存在している自衛隊にだけは抵抗を禁止したとしたら、これはおよそ国民の理解はえ られないことは明白」であり、それでは日本共産党は国民の安全に責任を負う気があるのか問われることになるでしょう。」(『前衛』2001年2月臨時増刊号184~185頁)
 ご覧のように、井上氏の指摘によれば、自衛隊活用論は「たいへん現実的な力をもったもの」であり、この政策抜きには「日本共産党は国民の安全に責任を負う気があるのか問われることになる」とされています。
 大会決議にかくも確信を深めた井上氏を筆頭とする日本共産党員諸氏の選挙活動にとって、今回の「政策」は、自衛隊活用論を伏せることによって、ハシゴを外してしまったのではないでしょうか。今回の政策に対して、少なくも、井上氏及びこれに拍手を送った代議員諸氏は、「日本共産党は国民の安全に責任を負う気がある」と鋭く問わなければならないはずです。
 衆知を集めて打ち出された自衛隊活用論を、説明も抜きに隠してしまう日本共産党の現在の姿には、ただただ唖然とするほかありません。自衛隊活用論に異議を唱えたため、党内外でどれほど多くの人々が圧迫・指弾を受けあるいは不本意ながら党を去ることになったでしょうか。まったくもって不誠実・無責任というほかありません。
 なるほど、これほどの無責任政党であれ、改憲阻止にそれなりの統一をよびかけることは有効であり必要でもありましょう。先に「ころんだ」社民党が護憲を唱え、いままた、軍事力有効論をぶちあげた日本共産党がこれを隠して改憲阻止を表明することも、市民にとってはそれなりに結構なことではあります。こういうのを「目くそ鼻くそ統一戦線」というのでしょうか。
 だがしかし、現日本共産党の無責任ぶりは「ハンパ」ではありませんね。ベルトを締め上げるより、党員諸氏は幹部の首を締め上げたほうがよろしいのではないでしょうか。妄言多謝。