以下は、私の投稿の論点とは直接は関わらない点についての回答です。
(1)「党への収斂」論について
まず、私の発言はすべてを党の支持拡大へと収斂させるものではないかとの大塩さんからの批判についてですが、私の発言に舌足らずな点があったことは率直に認めたいと思います。ただ、問題の発言の文脈を見ていただければお分かりになると思いますが、私の真意はそこにはありません。私が言いたかったのは、同じ発言でも非党員によるものと共産党員によるものとでは意味が異なってくるという当たり前のこと、ただそれだけです。
私が「一般有権者の党への接近」を有意義なものと考えるのは、あくまで、日本共産党がより多くの支持を集めることが社会の発展にとって重要であると考えるからであって、党の躍進それ自体に意義を認めているからではありません。党はあくまで政治組織の一つに過ぎないものであり、言ってみれば単なる手段に過ぎません。しかし、私はいま現在の日本の状況にとって党が躍進することは大きな意義を持つと考えています。これは党への物心崇拝とはまったく別の論理にもとづく判断です。この前提は現役共産党員によって構成されている「さざ波通信」編集部とは共有できるものと考えましたので、特に注釈はつけませんでした。あるいは大塩さんとはこの点で不一致があるかもしれませんが、それはまったく別次元の議論となるでしょう。
(2)「革命的左翼」について
「革命的左翼を標榜してきた「さざなみ通信」」という私の表現は、事実誤認に基づくものでした。訂正してお詫びいたします。けれども、私がそのように考えたのは的外れなことではなかったと思います。というのも、S・Tさんは一般的に「革命的左翼」を標榜する勢力には批判的ですが、目指すところが真の意味での「革命的左翼」であることは否定していないからです。私は何も「さざ波通信」が「革命的左翼」を僭称していると批判したのではなく、むしろ敬意を持ってそのような立場だろうと理解し、そうしたものを目指している(であろう)サイトが「護憲」を掲げることには「どこか座りの悪さがある」と述べたわけです。もし「さざ波通信」がそうした位置づけを拒否するのであれば私はこの表現にこだわるつもりはありませんが、ここには何ら当てこすりの意図などはなかったことはご理解いただければと思います。
(3)「護憲」について
次にその「護憲」に関してですが、あらかじめ言っておけば、これはかなりトリヴィアルな問題だと思います。私も別にとりたてて問題にする意思はなかったので、ひとこと触れただけで「措くとしよう」と済ませたのでした。けれどもこれも余計な口上でした。ともかく反論を頂いた以上、それなりの弁明をしておきます。
私がなぜ「座りが悪い」と述べたかというと、革命を志向する勢力にとって、現行体制とは歴史的に乗り超えられる過渡的なものでしかないものであり、いかに民主的な憲法であっても、それ自体は固守すべき対象ではないからです。何もここで「ブルジョア憲法」論を持ち出す必要はないでしょう。日本共産党は昨年の党大会で事実上「護憲政党」宣言を出しました(明示的に「護憲」の立場を主張したことはまだないのではないでしょうか)が、それ以前は正しくも差し当たり憲法の民主的・平和的条項を守ることだけを主張してきたわけです。原則論としては、そこに何らかの普遍的な意義を認めることができ、また現在の政治的文脈においてアクチュアルな意義が認められる限りにおいてのみ、憲法とは擁護されるべきものでしょう。こうした留保条件をつけずに無条件に「護憲」を唱えるの「革命的左翼」としてはどうだろうか、というのが私の疑問でした。
しかしS・Tさんが言うように、改憲が俎上に乗せられているという問題状況において、また憲法が空文と化しており、まったく社会のなかで実現されていないという状況においては、護憲のスローガンは明らかに進歩的なものです。そもそも「護憲」の意味はある程度社会的に合意されているのであって、天皇制条項などの前近代的条項を擁護する立場は普通「護憲派」とは考えられていません。端的に言って第9条への姿勢こそが護憲派と改憲派を分かつ分水嶺なのであり、そうした意味での「護憲」については私もまったく異議はないし、水を差すつもりもありません。したがってこの点で「さざ波通信」と私との間に何か重大な違いがあるとは思えません。ただ、「護憲」というスローガンは、先ほども触れたように共産党すら明示的に掲げたことはまだ一度もないようなものではないかと思います。「憲法改悪阻止」というスローガンと「護憲」というスローガンでは今日における実践的な意味としてはほとんど同義でしょうが、やはり理論的には違う性質のものです。私が敢えて当てこすりのように言ったのは、このことが言いたかったからです。「左翼小児病」患者のように「護憲」スローガンを全面的に否定する意図はまったくなかったという弁解だけはしておきたいと思います。
(4) 公選法問題
S・T氏は「共産党」といった特定政党の支持を訴えるスローガンを掲げなかった理由の第一として、公選法との関連でネット上の選挙活動がどこまで認められるか分からなかったということを挙げておられます。ネットと公選法というのは確かに面倒な問題であり、率直に言って私もこうした問題についてはよく分かりませんが、そもそもネットにおける選挙活動は、もし仮に裁判になれば絶対に勝てるとも言われており、現実に「さざ波通信」が摘発の対象になる事態は考えにくいでしょう。いずれにせよ、公選法という法的制限の存在がスローガンに党の名前がなかった主たる要因だとは思えません。
すべての論点について回答できたわけではありませんが、とりあえずお答えしておいたほうがいいと思う点については以上です。もし再質問があればお答えします。
(4) 公選法問題
S・T氏は「共産党」といった特定政党の支持を訴えるスローガンを掲げなかった理由の第一として、公選法との関連でネット上の選挙活動がどこまで認められるか分からなかったということを挙げておられます。ネットと公選法というのは確かに面倒な問題であり、率直に言って私もこうした問題についてはよく分かりませんが、そもそもネットにおける選挙活動は、もし仮に裁判になれば絶対に勝てるとも言われており、現実に「さざ波通信」が摘発の対象になる事態は考えにくいでしょう。いずれにせよ、公選法という法的制限の存在がスローガンに党の名前がなかった主たる要因だとは思えません。
すべての論点について回答できたわけではありませんが、とりあえずお答えしておいたほうがいいと思う点については以上です。もし再質問があればお答えします。