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一般投稿欄

嫌煙家氏の「若干の補足」に対する回答

2001/7/25 S・T編集部員

 嫌煙家氏のもう一つの投稿に対しても簡単に答えておきたいと思います。
 「革命的左翼」云々については、基本的に誤解が解けたと思いますので、再論はしません。いずれにせよ、「革命的左翼」ないし「革命的」という言葉は、歴史的用語として用いる場合以外では、きわめて慎重であるべきでしょう。
 次に「護憲」についてですが、今回の嫌煙家氏の反論を読むかぎりでは、われわれの主張した基本的論点をあいかわらず理解されていないようです。われわれが「護憲」を持ち出しているのは、あくまでも、次の参院選挙における投票の基準としてです。何も共産主義政党の基本原則は何か、という文脈で述べられているものではありません。ここが決定的な点です。嫌煙家氏にあっては、当面する目標・課題と綱領的展望とが完全に混同されています。嫌煙家氏は「革命を志向する勢力にとって、現行体制とは歴史的に乗り超えられる過渡的なものでしかないものであり、いかに民主的な憲法であっても、それ自体は固守すべき対象ではないからです」という文言は、長期の綱領的展望としてはまさにそのとおりです。しかし、あのバナーのスローガンが問題にしているのは、わずか1~2週間後に行なわれる参院選における投票基準です。それとも、嫌煙家氏は、次の参院選で憲法の乗り越えが課題になっているとでも考えておられるのでしょうか? 
 また、嫌煙家氏は続けてこう述べています。

原則論としては、そこに何らかの普遍的な意義を認めることができ、また現在の政治的文脈においてアクチュアルな意義が認められる限りにおいてのみ、憲法とは擁護されるべきものでしょう。こうした留保条件をつけずに無条件に「護憲」を唱えるの「革命的左翼」としてはどうだろうか。

 現憲法に対するわれわれの立場については、これまでの『さざ波通信』で何度となく表明してきましたし、その擁護をなぜ主張するのかについても、繰り返し説明してきました。われわれは「無条件に護憲を唱えている」のではなく、これまでの『さざ波通信』で十分な説明をしたうえで、しかも、次の参院選での投票基準というきわめて限定的な脈絡で「唱えて」いるのです。
 なお、嫌煙家氏は「「護憲」というスローガンは、先ほども触れたように共産党すら明示的に掲げたことはまだ一度もないようなものではないかと思います」とおっしゃっていますが、共産党が「護憲」を掲げなかったのは、共産党が憲法9条を守る立場ではなかったからです。共産党は結党以来、第20回党大会にいたるまで、「中立・自衛」の立場でした。そして、今日においては、自衛隊活用論、自衛隊の事実上の半永久的維持論に陥っています。
 われわれがあえて「護憲と革新」というふうにセットで語るのは、統一戦線的立場からです。日本の戦後革新運動は、基本的にこの二つのスローガンのもとで発展してきました。社会党は主として「護憲」を、共産党は主として「革新」を、それぞれのアイデンティティにしてきました。21世紀における新しい左翼の運動は、20世紀における最良の伝統を受け継ぎ発展させる中で展開されるのです。だからこそ、われわれは「共産党すら明示的に掲げたことがまだ一度もない」スローガンをあえて掲げているのです。
 われわれは、「『革命的』と思われないのではないか」などと心配するようなことはありません。実際、われわれはしばしば左翼セクト主義者から「革命的ではない」として攻撃されてきました。われわれはそのような非難に何の関心もありません。われわれが常に自分たちの分析・スローガンの基準にしているのは、抽象的な「革命性」ではなく、現在における真の対決点、階級闘争の現実的機軸にそっているかどうか、その対決点と基準において真に進歩的な方向性を表現しているかどうか、です。帝国主義的大国化、権威主義的統治編成、新自由主義的社会・経済政策といったものが現在の支配層の基本路線であるかぎりにおいて、そうした路線と真に対決しうる方向性、展望、変革主体、大衆的スローガンを解明し、具体的に提案すること、これがわれわれの分析・行動基準です。
 最後に「公選法」の問題ですが、『さざ波通信』が摘発の対象になることはないだろう、と嫌煙家氏はおっしゃっています。たしかに、可能性そのものからすれば、それは低いでしょう。だからといって、権力に無用な弾圧の口実を与えるべきだとも思えません。すでに述べたように、われわれは、『さざ波通信』第20、21号で、繰り返し、現在共産党が小泉改革路線ときっぱり対決していることを指摘し、それを高く評価してきました。また、『さざ波通信』はこれまで、共産党と並んで、新社会党の立場を高く評価してきました。こうした中で、「小泉改革と対決し、護憲と革新の旗を守る政党と候補者に投票を」というスローガンを掲げれば、具体的にどの政党や候補者に投票すべきだと示唆しているかは、『さざ波通信』の読者なら誰にとっても明らかなはずです。自明のことをあえて名指しすることで、わざわざ権力に弾圧の口実を与えてやる必要がどこにあるのでしょうか?