待子さんから「誰にでも分かる言葉で話」せとのご批判を頂きました。そんなに訳の分からないことを言ったつもりはないのですが、待子さんが私の「さざ波通信」のスローガンに対する批判を「真正面から、現在の党を応援しろ」というものだと理解されているところを見ると、なるほど私の発言の趣旨はまったく理解されていないようです。確かにこれは私の考えそのものの混乱および文章能力のなさなどに由来するものかもしれません。批判は批判として受けとめたいと思います。
けれども断っておきますが、私の「さざ波通信」への投稿は、「一般人」向けに語りかけているものではありません。党のビラが「一般人に解ると言う事を主眼にして、書かれている」のは、ビラの目的からして当然ですが、問題にされた私の投稿は「さざ波通信」の姿勢を編集部自身に対して問いかけたものですので、全国の有権者や「一般人」に対して自説を訴えたわけではありません。確かにHPという媒体での発言である以上、それは不特定多数に対するメッセージでもありますが、「さざ波通信」を見るような読者というのは、はっきり言ってきわめて特殊な層です。特殊な関心に支えられた特殊なサイトにおける特殊な発言なわけですから、ここで共産党のビラなみの分かりやすさを求められるのは、やや筋違いかと思います。
それから待子さんはS・Tさんや私を「今や党内党外の遅れた部分の方達だ」と言われます。待子さんが何をもって「進んだ部分」と考えておられるのか必ずしも明らかではありませんが、この直後に「今は、党のビラだって、一般人に解ると言う事を主眼にして、書かれていると思います」と仰るところから判断すると、党が「分かりやすさ」を前面に押し出したビラが出すようになったことなどを指していると思われます。そうすると「国民との関係が新しい段階に入った」と規定した第21回党大会以降の党のひとつの傾向ということでしょうか。この点に関しては、私は明らかに待子さんとは認識を異にします。21回大会以降の「分かりやすさ」とは、厳密な理論的整合性を堂々と犠牲にすることによって生まれた仮象の「分かりやすさ」なのであって、見る人にとってはむしろきわめて分かりにくいものであり、自衛隊問題での対応などはその典型です。もし待子さんがこうしたことを指して「進んだ部分」だとお考えなのだとするならば、私は(そして間違いなくS・Tさんも)それには真正面から反対の立場だと言わざるを得ません。
なお言語表現上の問題を指摘されているのだとするならば、一般的には気をつけますとしか言いようがありません。ただ、言語というものはコミュニケーションの手段ですから、もし当事者間でもっとも円滑なコミュニケーションがなされているならば、そこには間違った言語も正しい言語もありません。そして円滑なコミュニケーションがなされる手段とは、つねに「誰にでも解る言葉」であるわけではありません。物理学の学会で行なわれる議論に対して「誰にでも解る言葉で話してください」と注文をつけるのは、端的に誤りです。もし私の発言が不要にコミュニケーションを阻害するものとなっているのならば確かに改善を要することですが、もっとも狭い意味での当事者は編集部と私であり、当事者を広い意味でとっても「さざ波通信」の読者だけです。私はそのような限定された当事者の中におけるコミュニケーションの手段としてはそれなりに相応しい言語を用いてきたつもりでいました。が、ご批判があったということは事実なわけですから、留意するようにしたいとは思います。