今回の参議院議員選挙の結末には、まったくもって失望し、悲しみと怒りさえ感じた。表向きだけの「政治改革」を装い続けた自民党に64議席の獲得を許し、更には自民党の補充勢力にして違憲政党である公明党、自民党の別働隊に過ぎぬ保守党を含めて78議席と愚かにも安定過半数の獲得すら許すという、東京都議会議員選挙以下の最悪最低の結果となった。また、非拘束名簿式という馬鹿げた選挙方式で方式で大仁田厚という、あるテレビ局のアナウンサーに暴力をふるって反省の色一つ示さぬ政治理念なき野蛮人や舛添要一という曲学阿世までも自民党の「御威光」で当選させるという馬鹿げた事態さえ起きたのである。
この最悪の結末は、この国の政治史に新たな一大汚点として記録されるはずであるが、その責任の一端は、無論この国で悪政・失政・暴政を続けてはばからぬ自由民主党にある。第二次大戦後から今日までこの国の国民を愚民化し、この国を様々な側面で末期症状に至らしめた罪は極めて重いが、今回の参院選でもこれまでの悪政・失政・暴政を何ら反省し恥じることなく、口先だけの偽りの改革を名乗る小泉純一郎というナショナリストを自民党総裁・内閣総理大臣に祭り上げたのである。その小泉が常々語る「痛み」という名の「改革」とは、不良債権処理という名の倒産・失業率増加、医
療・福祉・教育の質的低下、憲法改悪など、その実態は体のいい棄民政策に過ぎないし、小泉以前に悪政を担ってきた橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗ら歴代の首相が行なってきたことと何ら変化が見られない。否、むしろ彼らよりたちが悪いものであり、決してこの国のためになるものなどではないし、参院選前の株価の最安値更新や、外交での相次ぐ失態、そして投票日直前の恥ずべき暴言は、小泉が改革者を名乗る資格のない、単なる無能な政治屋に過ぎぬことの証明であることは、大人の思考力を持って冷静に判断すればすぐに解ることであろう。
ところが、この国の有権者にはマゾヒストや学習・思考・批判能力が退化した者が急増しているのか、その「痛み」に対して何ら怒りや抵抗を表明することなく、それを支持する者の何と多いことか。
投票を棄権したり、白紙投票という愚行に出た者も、上に準ずる。今回の投票率56.44%は余りに低過ぎると言わねばならない。この末期的国情を考えるならば、これ以上自民党政治を許し続けることは、この国を決定的に破滅させることであるという自明の理は、常識で考えれば解るはずである。にもかかわらず、43.56%の参政権を愚かにも放棄した有権者は、間接的ではあるにせよ小泉自民党偽改革政権の延命を許した罪を犯したと断言できる。
大新聞・TV等大マスコミの相も変わらぬ自民党政権への無批判・無節操・無責任な報道姿勢も目立った。都議選の結果を批判した際も述べたので繰り返さないが、小泉の暴政を何ら告発することなく、ただワイドショー的に美化するばかりで、マスコミとして何の役割も果たそうとしないことに怒りを感じた。
いずれにせよ、この国の、目ざめることを知らぬ無知で愚かな大多数の有権者が小泉自民党ナショナリズム政権の延命を許したことで、この国の行く末が漆黒の闇夜に覆われることは想像に難くない。やがて経済、外交などの様々な分野でこの国は信頼を著しく失墜させ、物心ともに早晩四等国へ転落し、嘲笑と軽蔑を受け続ける国へと堕落するであろう。この国の行く末を憂う私としては、有権者達が小泉ナショナリズム政権の欺瞞に一刻も早く気づき、小泉が同じくナショナリストの東京都知事・石原慎太郎同様失脚することを望むのであった。
ところで、日本共産党は8議席から、5議席にまで後退し、事実上大敗というこの国にとって極めて悲劇的な事態を、都議選と同じく蒙ることとなった。この国に蔓延する小泉フィーバーという愚かな現象のあおりを受けたことも一因であろうが、最大の原因は、98年の参院選躍進以来の度重なる変節である。「国旗・国歌」法制化容認、不審船射撃事件への態度の弱体化を皮切りに、2001年の衆院選後退以後の規約の大幅改悪による革新政党としての責務の放棄、自衛隊・機密費容認など、現在の政権政党である自民党と、その亜流政党である民主党・自由党や権力御用マスコミ、そしてそれに寄生する似非文化人達に迎合し、変節・右傾化の限りを尽くしてきた。さらには、今年の東京都議会選挙では、こともあろうに、都知事不適格者にして和製イェルク・ハイダーの石原慎太郎の暴政に対し、「是々非々」という間違った態度で臨んできたことは、致命的に日本共産党の存在意義を喪失させ、これまで支持して来た人々を裏切り、26議席から11議席を一挙に失い、都議会第4党にまで転落させ、結果として石原・小泉というナショナリストによる悪政・暴政の延命を愚かにも許すこととなったのである。もし98年の躍進以降も、変節・右傾化という愚に走らず、それまでの革新政党としての信念を貫き通していたならば、その信念は国民の共感を得、衆院選や一斉地方選、都議会選、参院選で更に躍進し、この国も既に正常化していたであろうに!
投票日当日の記者会見で、志位委員長は、委員長の職を辞任しないと述べていたが、志位氏に代わる者がいない以上、続投は致し方あるまい。しかし、不破議長、志位委員長、市田書記局長以下全ての幹部、常任委員、中央委員に、次のことを要求したい。
繰り返すが、日本共産党等の「革新」政党が躍進しない限り、この国には未来はないし、このままの体制を続けていたのでは、日本社会党やイタリア共産党の二の舞を踏むことにもなりかねない。それは、この国の政治や社会の正常化を阻害することとなり、この国も四等国へと転落するだけの末路をたどることとなるであろう。