嫌煙家氏の議論に対してどのように反論するべきかについていろいろと考えているうちに、参院選挙の本番を迎えてしまいました。結果はご存知のとおりです。「小泉『構造改革』路線と対決する」政党と候補者が軒並み大幅な後退を喫し、「小泉『構造改革』路線」を推進する政党と候補者が躍進を遂げました。これは、われわれを含めた護憲・革新陣営全体の敗北であり、その責任の一端を当然ながらわれわれ自身も負っています。小泉改革路線の危険性をこのサイトを通じて訴えてきましたが、それはあまりにも無力で不十分でした。
すでに、今回の参院選の結果そのものが、この間のわれわれと嫌煙家氏との論争をまったく時代遅れのものにしています。「副次的矛盾」ですらない問題をめぐって、われわれは貴重な時間を無駄にしてきたように思います。もっと小泉政権の危険性について広く訴えるべきだったのです。まさに、主要な矛盾と副次的(ですらない)矛盾とを区別することのできない行為でした。とはいえ、われわれが共産党への不支持を密かに訴えているかのように言う不当な主張に対しては、自衛として一定の反論をしなければなりませんでした。ただ、もっと手短にすませるべきでした。
以上のような反省を持っているにもかかわらず、今回、改めて最後に嫌煙家氏に反論するのは、嫌煙家氏の7月29日付の投稿の中で、次のように述べられているからです。
私は23日付の投稿で、「さざ波通信」は主要な矛盾を見誤っているのではないかと批判しましたが、この場合「主要な矛盾」とは小泉政権と国民(人民)との矛盾であり、「副次的な矛盾」とは対抗勢力内における共産党の問題です。
つまり、『さざ波通信』は、主要な矛盾を見誤り、「小泉政権と国民(人民)との矛盾」よりも「対抗勢力内における共産党の問題」を重視したというわけです。それが例のバナー問題だというわけです。これは信じがたい主張です。もう一度われわれのバナーの文言を見てみましょう。われわれは何と訴えたでしょうか。
「参院選は、小泉「構造改革」路線と対決し、護憲と革新の旗を守る政党と候補者に投票を!」
これがわれわれの掲げたスローガンです。このスローガンはまさに、「小泉政権と国民(人民)との矛盾」にズバリ焦点をあてています。このスローガンのどこにも、共産党を非難するような言葉はありません。このバナーを取り上げて、「主要な矛盾を見誤っている」などと非難するのは、本当に信じがたいことです。もし嫌煙家氏が、このバナーが共産党への投票を直接に訴えていないことを問題にしているのだとしたら、嫌煙家氏は、主要な矛盾が「小泉政権と国民(人民)」とのあいだにあるのではなくて、「小泉政権と共産党」とのあいだにあると考えているか、あるいは、唯一共産党だけが国民(人民)を代表しているとみなしているかのどちらかです。
われわれが、あのバナーで共産党を名指ししなかった主な理由は、これまでの『さざ波通信』での記述から、共産党があのバナーでの呼びかけの対象に入っていることが明らかなこと、そして共産党だけが小泉改革と対決しているわけではないこと、共産党の昨今の右傾化を憂慮して別の革新政党に入れる読者の選択をも排除しないこと、などでした。つまり、あのバナーはまさに、主要な矛盾が「小泉政権と国民(人民)との矛盾」にあることを正面に据えつつ、「対抗勢力内における共産党の問題」という副次的矛盾にも部分的に配慮したものだったのです。
すでに時代遅れになっている論争ですが、以上のことだけはここで改めてはっきりさせておきたいと思います。非難や批判はけっこうですが、正しい事実関係にもとづいて行なっていただきたいと思います。