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共産党は戦没者追悼施設問題で自殺点ゴールを蹴込むのか

2001/8/13 大塩平七郎、50代、労働者

 内閣総理大臣小泉純一郎の靖国神社参拝問題につき、8月12日付「朝日新聞」紙上で、同党代議士塩川鉄也氏の見解が掲載されました。
 最近、私は、「しんぶん赤旗」とはすっかりご無沙汰していますので、この問題についての日本共産党の公式見解を読んでいません。しかしながら、不破氏や志位氏ではない、党の一国会議員たる塩川氏が党の公式見解を外してコメントすることなど考えられませんから、氏の発言に沿って党の見解を論評しても大過あるまいと思われます。
 さて、氏が言及する靖国問題の批判の論点は、おおむね常識的なもので、これについてコメントする必要もないでしょう。
 それでもなお念のために付け加えるならば、靖国の本質は、次の平易な記述に端的に表出されていることを忘れないようにしたいものです。

「君のため国のためにつくした人々をかやうにまつり、又ていねいにお祭りをするのは、天皇陛下のおぼしめしによるものでございます。わたしどもは陛下の御めぐみの深いことを思ひ、ここにまつつてある人々にならって、君のため国のためにつくさなければなりません。」(第三期国定修身教科書巻四より)

 さて、問題は次の点にあります。すなわち、インタビューの最後、「新たに国立の墓地をつくる案については。」との質問に対する塩川氏の次の回答です。
 「再び戦争を繰り返さないという今の憲法の立場に立った弔い方、真心を寄せる施設のあり方について、これを機会に大いに議論を呼びかけたい」
 ご覧のとおり、お得意の<国民の皆さんとともに議論する>物分りのよい共産党の立場をそつなく示したつもりのようです。
 がしかし、現実政治の力関係のせめぎ合いの真っ只中で、こんな、学級会めいた「善意」の発言をしていてよいのでしょうか。侵略戦争や戦争犯罪はなかったことにしたい教科書が大手を振るって罷り通っている現在唯今なのに、実にのん気な話ではありませんか。どうも、わが日本共産党の幹部諸君には、「日の丸」・「君が代」法制化で果たした歴史的かつ犯罪的失策への自覚と反省が皆無のようです。
 そもそも、国家が「追悼」(「慰霊」ということばは、ある範囲の宗教的立場を表出する用語なので問題外ですが)施設をつくって、死者の死にある意味付けを与えることそのものの問題性が一切不問に付されている点で、ナンセンスと言うほかありません。
 アジア諸地域で屠った人民の命や「日本人」の非戦闘員の命は勿論のこと、軍人軍属の死の一つ一つのありようと無念を捨象して、国家が追悼することの傲慢さを知るべきではないでしょうか。また、そのような施設ができたとき、それへの敬意や参列が強制されかねない危険を見逃してはならないでしょう。
 「これを機会に大いに議論を呼びかけたい」日本共産党の幹部諸君が引き起こそうとしている災厄に、万全の警戒と批判を怠りませんように。