この件についてはすでに発言する方もいなくなり、いささか間の抜けた発言になりますが、どうかおつきあいください。
確かこの件については私のほかにお二人の方の発言がありました。8月2日の堀井綱仁さんによる『S・T編集部員への「非拘束名簿式比例代表制」対案』と、8月11日の部落解放同盟の親戚さんによる『比例代表は拘束名簿で』でした。
堀井さんの提案は、(1)都道府県ほどの選挙区割りで政党に投票し比例配分、(2)(1週間後)各政党に配分された議席数の範囲内で何人でも、各政党が提出した候補者名簿の中から(どの政党からも)選べるものとする、という二回投票制でした。
民意の反映・「個人の顔も見える」選挙という点では私も思いを同じくするものですが、いくつか疑問な点があります。
第一に二回投票制という点です。選挙運動をする側が大変というのは論外ですが、選挙を運営する自治体のコストの増加は問題でしょう。それ以上に、一つの選挙を二回にわけることによって二回目の投票行動が変わる可能性があります。候補が乱立した首長選挙で、誰も多数をとれなかったような場合は二回投票(というより決選投票ですね)も必要でしょうが、議員選挙の場合政党枠と個人名の投票は同時でも何ら差し支えないと考えますがいかがでしょうか。
第二に二回目の投票方法ですが、ちょっとわかりにくいんですけど一人の有権者が何人でも指名できるというものでしょうか。これですとやはり開票事務が膨大になりますね。また、やはり選挙というものは 有権者一人が信頼できる一人の候補者に投票するというのが原則ではないでしょうか(戦後の一時期大選挙区連記制というのがあったようですが)。一人が一人を選び、その集計が順序を形成する。この方が世論の反映としてもわかりやすいと考えますがいかがでしょうか。
つぎに部落解放同盟の親戚さんの提案です。単純明快に全国一区拘束名簿式比例代表制を主張しておられます。「個人の魅力」などとは言っても政党の議席数によって議会内の政治が行なわれる現実は確かに不変です。その点で部落解放同盟の親戚さんの、各党の立場を明確にさせる意図はよくわかります。
ただ、そのお考えと「さざ波通信式」(と、私は勝手に命名しました)は、別に矛盾しないのではないかと考えますがいかがでしょう。どんなに集票力のある個人が個人票を集めても、「さざ波通信式」ではせいぜい順位が上がるだけでしょう。団体の締め付けやタレント候補が好ましいか否かは、(日本国民の民主主義の水準として重要な課題ですが)とりあえず選挙制度とは別にして考えてはどうでしょう。
今更いろいろ言ってしまいましたが、要は個人を選ぶにしても政党を選ぶにしても、有権者が投票した意図がゆがめられないような選挙制度が必要なのでは無いでしょうか。
もっとも、どんな選挙制度でも選挙下手な政党は伸び悩むかもしれませんね。
もうこの問題は盛り上がらないかな?