ご返事ありがとうございます。まず、しろうさんの考え、すなわち、「アメリカからの自立」は、「アメリカ経済を完全に断ち切る」とは同じでないと言われることについて、私の考えを述べます。
私は、アメリカに対し、自由に発言し、自由に行動するためには、アメリカからの安全保障上の自立と経済上の自立が不可欠だ、という考えです。
言いかえれば、アメリカなしで自国の安全保障と経済活動ができないうちは、日本がアメリカに自由にものを言うことも、自由に振舞うことも不可能だ、と思います。その理由を次に述べます。
私は、アメリカの行動原理を非常に単純に考えています。それは、「悪意には悪意で、善意には善意で応じる。」ということです。アメリカは、日本を同盟国として、今まで助けてきた、と考えており、日本に助けられたことがあるとは思っていないと思います。特に、最近のバブル崩壊以降の日本経済を、10年間支えてきたのは、自分たちのIT革命と日本の輸出品を大量に買ってきた自分たちの消費活動だ、と思っているでしょう。
その日本が今回のテロに際して、支援を一切しない、としたら、彼らはこの行為を「裏切り」と考えるでしょう。そして、先に述べたとおり、アメリカは当然この行為に対して「報復」するでしょう。その内容は、しろうさんの仰る通り、戦争という手段を取ったものとはならないでしょう。私はそれは経済制裁という形を取ると考えます。
そして、ここでもしろうさんの仰る通り、両国の経済を完全に断ち切るようなものにはならないでしょう。しかし、私は、この完全な形でない経済制裁でさえ、日本にはほとんど致命的な打撃を与えることになると、思います。
仮に、アメリカがその対外貿易全体の割合の3%分を、日本に対して減らしたとします。すると日本の対米輸出の12%,対米輸入の7%が減ることになります。対外投資で同じことをされると、日本の対米投資の10%が行き場を失い、日本に対する外国の投資のうち30%が引き揚げられることになります。このようなことが起こる理由は、アメリカ経済の規模の大きさと、日本経済の対米依存の割合の大きさ故です。(以上外務省HPより)
このような制裁が行われれば、ただでさえ、どん底に陥っている日本経済はさらに悪化し、昭和恐慌の再来のようなことになるのではないでしょうか。その場合、銀行や保険会社、年金制度の破綻などが考えられ、高齢者を中心に自殺者や餓死者も多数出るように思われます。
さらに、しろうさんは「アメリカとの全面的な対決状況となるなら、国内の食料自給体制を整え」と書かれましたが、makkieさんへの返信にも書きました通り、耕地が圧倒的に不足していますし、第一若い人々は、農業などやりたがりません。私は田舎に住んでいますが、家の周りの水田や畑は、急速に宅地に変わりつつあります。
また、「中国をはじめとするアジア諸国と友好関係を深める」と書かれていますが、もし、中国を、将来の日本の食料輸入相手国と考えておられるなら、その考えを改めるべきです。なぜなら、中国は、1990年の時点で、すでに900万トンの食料を輸入する食糧輸入国ですし、今後その輸入量は、人口増と耕地面積減から、2030年には、2億1600万トンに達するだろうと予測されています。(以上米国ワールドウオッチ研究所試算)
その時には、世界規模では、5億トンの穀物不足になるそうですから、中国は日本の食料輸入における競争相手となるはずです。
以上のことを勘案し、私はアメリカからの経済上の自立は、残念ながら不可能だ、と考えます。故に日本は、アメリカに対し、自由にものを言うことも振舞うこともできないのです。したがって、今回の事件に際し、いやいやでも、アメリカを支援せざるを得ないと考えます。