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つまりインフレ期待論?>渋茶さんへ

2001/10/29 通り雨、50代、会社員

 資本主義経済はゆるやかなインフレをその存続ないし発展の必要条件にしている。いや、これは、社会主義経済だって同じかも知れない。
 資本主義社会では国民のライフスタイルも、企業や銀行のシステムも、すべてゆるやかなインフレを大前提として成立している。ゆるやかなインフレのもとでは、モノやサービスの価格は上昇するが労働生産性の向上によって労働力の価格である賃金も上昇する。供給と消費の好循環が持続する。大ざっぱにいえば戦後1980年くらいまでは、幾多の不況やオイルショックなんかも乗り越えてこの好循環が続いてきた。「失うものは鉄鎖のみ」の労働者階級だって、少なくない人びとがローンという名の鎖付きではあるが家を買えるまでになった。
 ところが80年代最後のバブルを区切りにこの好循環が終焉を迎え、ゼロ成長からデフレの様相に転換した。
 デフレには資産デフレと物価のデフレがある。資産デフレが進行すれば、株式や土地や住宅は値下がりするから誰も買わない。年金や生保は資金運用が赤字になるから倒産する。
 もし物価のデフレ(値下がり)が進行すれば、モノよりカネの方が得だから企業は設備投資をしない。国民はモノを買わない、買い控える(先安感があるのに焦って買うバカはいない。日常の食料品を除いては)。銀行は金を貸せなくなるから倒産し、政府は税収が減って国民の健康や年金を保障できなくなり公共事業も減らしてますます不況が広がっていく・・・・・・。

 しかし驚くべし。小泉内閣のポンチ絵経済政策は、国家予算を縮小せよ、国債は増発するな、銀行は株を売れ、不良債権を何が何でも一掃せよ、等々、どれもこれも皆デフレ政策である。
 頼みの綱のハイテク景気も崩壊した。情報通信関連産業は今や世界中で不況を増幅し、雇用を創造するどころか大量の失業者を排出している。
 それでも小泉首相と一部の閣僚は改革が先だ、倒産と失業は覚悟の上だと公言している。企業は倒産に備え、国民は失業に備えて現金を貯えるから、設備投資と消費が落ち込んで、ますますデフレが進行する。
 テロ事件がなくても株価が暴落してきたのは当然である。小泉内閣の誕生以来、株式の時価総額は100兆円も暴落した。今さら2兆円や3兆円の補正予算を組んでも後の祭り、焼け石に水である。

 デフレの恐ろしさを知らない小泉・竹中の書生・坊ちゃん内閣は改革の名のもと、戦後初めてのデフレへの処方箋を完全に取り違え、インフレ退治の時にとる政策をこのデフレ時にとっている。あー、バカに付ける薬なしとはこのことか。

 共産党は、口を開けば消費税を下げて消費不況克服を、という。これはしかし小手先の術にすぎない。共産党自身があざ笑った公明党の商品券の支給策で消費を刺激できなかったのは立証済みだ。5%を3%に下げたって消費が伸びるとはとても思えない。デフレを止めることが先決だということ。デフレを断たないで消費税を下げたって、物価下落期待、土地や株式など資産価格の低下期待があるうちは消費の回復には向かわないのだ。フレが逆転して物価指数や証券相場が上向きになればカイが殺到して、消費税などさげなくったって消費不況は雲散霧消する・・・。

 渋茶さんのご意見はせんじつめれば、こういう調整インフレ論ではありませんか?