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低価格商品の輸入急増について

2001/10/30 渋茶、40代、労働者

 低価格商品の輸入急増というのは、確かに、生産部門での大量の失業者や失業予備軍を作り出しています。かつてのアメリカが、日本に対して抱いていた脅威が、今度は図式を変えて日本がこうむっています。西洋の先進国も同様ですが、直接生産に関わる仕事は、どんどんより賃金の安い国々へでていって、流通・金融・開発型の企業に人材の移行が進んでいます。これも80年代から急速に広がった生産の合理化(生産技術を勘や経験に頼ったものから、パートなど低熟練労働者でも可能なマニュアル化された生産への移行)が可能にしたものだと思います。
 しかし、これはあまりにも、変化が急速であったため産業構造調整が追いつかない中でおこったことです。基本的に生産地である低開発国は同時に購買力をも拡大させていくので、消費国としてもそれだけ優秀な地域になっていきます。日本国内でいえば、地方に工場を移転させて、その地域の経済を盛んにして、日本全体の経済にも還元させるという効果と同様です。地方での工場立地の場合と同じく、その収入は、すべてその地方に還元させるわけではありませんが-低開発国への工場移転で最も利益を得ているのは、当然ながらその所有者!中国も低価格商品を売って外貨を獲得し、それで工場施設拡大やインフラを充実させるために海外に流れる資金の手当てをするという形で発展しています。つまり、中国が設備・インフラ関係で充実していく為には、製品関係で黒字になることが絶対に必要。実際、対アジア地域では、貿易収支は黒字。ちなみに、国として、貿易黒字が大きい場合には、長期的には金融資本の国外流出で釣り合わせるしかありません(日本の場合、長期資本の流出+金融収支のマイナス)。
 対アジアでは、同一金額でも、労働生産性の低いものを輸入して、労働生産性の高いものを輸出しているので、それが進むことは、単純な関係でいえば、雇用力の減退に繋がっている。とにかく、低価格商品の輸入急増が雇用不安を作り出しているということよりは、それが産業構造の急速な改変を迫っているにもかかわらず、そんなに急には変われないということが、大失業&大量の失業予備軍を生んでいる。
 この様な状況は、潤沢な余裕資金と人材を供給できる環境を整えている。しかし、実際に、投資行動を伴わないと、それが結びつくことはない。お金もあるし、労働力もあるが、何をしてもらいたいかわからないという状況が続いている。