しろうさんへ
お返事ありがとうございます。
だんだん私たちの認識の違いの焦点を絞ることができるようになってきました。
以下の事柄について私の考えを述べます。
①餓死者について
>>このような制裁が行われれば、ただでさえ、どん底に陥っている日本経済はさらに悪化し、昭和恐慌の再来のようなことになるのではないでしょうか。その場合、銀行や保険会社、年金制度の破綻などが考えられ、高齢者を中心に自殺者や餓死者も多数出るように思われます。
>そこで想定されている餓死者は、食料の絶対的不足によるものですか?
経済恐慌下での餓死者については、今夏名古屋のアパートで起きた経済的困窮からくる餓死者を想定しました。
>ちなみに、昭和恐慌の時には、食料の供給量が絶対的に不足したために餓死者が出たのですか? そんな数字をお持ちなら教えて下さい。ただ、天皇家や財閥の下にたらふく食料があったのは確かでしょうから、食料の供給量が絶対的に不足したなどということはないように思いますが(感覚的発言です)。
昭和恐慌の折の餓死者については、高校の教科書で見た、農家の庭先で葉っぱのついた大根をかじる少女の写真や、農家の多数の子女が口減らしのため、身売りしたという記述から、餓死者も出たのではないか、と想像しました。
以下、山川均「飢える東北の農村」改造昭和9年12月号より引用。
「…医者にかかるものは滅多にない。子供は驚くほど生まれて、驚くほど死んで行く。戸籍調べに回ってみると、この前生まれたのがたいてい死んでいるので、若い駐在所の巡査も驚いていた。小鳥谷村の隣の岩手郡御堂村は、乳児死亡率90%というのだから驚くの他はない。奥中山でも、栄養不足のためだろう。目の見えなくなるのが、ことに年寄りに多かった。こうなると飢饉の問題ではなくて、なし崩し的な餓死なのだ。…」引用終わり。
数字につきましては、また調べたいと思いますが、私は国内状況をこのようなものに断じてしてはならない、と思います。今回のテロについて、色々な場所で、様々な意見を拝見しめすが、共通して言えることは、テロを容認する意見は皆無だ、ということです。そうして、上記のような経済状況こそ、戦前の日本と同様、テロを頻発させる土壌になるからです。
② 日本の食糧自給について
>アメリカとの貿易額が減少したからといって食料が絶対的に不足して餓死者が出るとは思われません。根拠は全くありませんが、外国からの輸入も可能でしょうし、
アメリカ以外の国からの食糧輸入はほぼ不可能だ、と思います。
以下に、その根拠となる数字を挙げます。
NHK取材班「日本の条件(6)食糧」より
世界の各地域の穀物輸出入の概況(1980-81年)
アジア:-5000万トン(内、日本:-2400万トン)
中東:-2200万トン
アフリカ:-1200万トン
南米:-1300万トン
北米:+1億3600万トン
西欧:-600万トン
東欧:-1200万トン
ソ連:-3300万トン
オセアニア:+1300万トン
(なお、数字の前のプラス、マイナスはそれぞれ輸出超過、輸入超過を表します。)
>殺されている農業生産力を急速に回復することも可能だろうと思います。戦時中は、校庭を畑にしてイモを作ってしのいだと言いますし。
このような体制は現在の日本人には到底耐えられないと思います。「そんなくらいならアメリカを援助するために、なんでもしろ。」と言い出すのではないでしょうか。日本人が自らの血と汗とを流して解決すべき問題を先送りし、先送りして、現在の状態に立ち至っているのではないでしょうか。
>農業は、自民党の農業政策によって潰されているのです。
私もそう思いますが、その自民党を政権党に選んでいるのは、日本国民です。
>食糧の自給率を急速に高める必要があり、それは、政策転換によって可能だと思います。
国民は今までどおりの政策を望んでいるのではないでしょうか。
つまり、私としろうさんの考えの違いは、しろうさんは「日本人は対米経済に従属する安楽より、世界における正義のためなら困窮の中で経済的自立を選ぶ根性がある」と考えられるのに対し、私は「日本人は軟弱で、とてもそんな根性はない」というものです。
どちらが正しいかは、時間がたてば分かってくるでしょう。
③ 日本の外交について
>アジア諸国との友好信頼関係を深めることは、経済的にも軍事外交的にも、対米自立に有益であるということです。困ったときに助けてくれるお友達をアジアに作れということなのです。
アジアに限らず、お友達は大いに作るべきだ、と思います。完全同意です。しかし、日本が困窮したときに助けてくれる友達は、日本より、「大きい」必要があると思います。日本より「小さい」と日本と一緒に潰れてしまうからです。さて具体的にはどんな国が考えられるでしょうか。