低価格商品の輸入急増というのは、輸入超過による資本流出が問題にならない範囲ならば、生産技術の革命的な発達による生産効率増大による製品の低価格化と同じ効果である。日本は、基本的に黒字国です。つまり、貿易においては、資本がどんどん膨らんでいっている国なのです。つまり、それだけ消費量を拡大させることができ、生活水準も向上させることができるはずです。しかし、実際には、国内で資本効率の高い投資先の無い分、資本流出を招いていますし、それでアメリカ経済をささえています。この資本流出の分野では、かなり損をこうむっているのがときどきニュースになります。
現状では、低価格商品の輸入急増というのは、生活水準のアップに繋がるものです。その低価格で購入できた分、他の消費に金銭が回れば、いままでできなかった種類の生産分野に労働力を振り向けられます。しかし、低価格商品の輸入急増というのは、産業構造の調整を必要とするので、その人材移動の間混乱が起きます。その混乱が、消費低迷・将来不安による蓄財という現象になって初めて、デフレ循環が起きます。つまり、産業構造調整を必要とする一項目として、低価格商品の輸入急増があります。
政府も産業構造調整を急ぐ為、人材移動をもっと活発にすることによって、デフレ循環をすみやかに解決しようとしています。しかし、この人材移動と言うのは、消費水準が確保されてのみ可能なものです。消費水準さえ、確保されていれば、その消費を満たす為の新しい産業はどんどん生み出されていくでしょう。しかし、実際にはこうなってはいません。産業構造調整を必要とするという現象自体が、低消費・低投資社会を作り上げてしまったからです。日本人が、将来生活を他民族より重視する人間が多いからでしょうか。
アメリカのように、高度な競争社会を営むためには、高度な消費社会・リスクを恐れない投資活動といったものが必要です。
かつて、日本は、土地・株などをどんどん上げること(経済活動を拡大することで資産が膨れ上がる)やアメリカの高度消費社会にささえられて、高消費活動部門を維持してきたのですが、それが長く続かせられるわけがありません。企業活動の優劣を決める経済指標を、資本の大きさを競争させることから資本効率を競争させることにかえたこと(土地の大きさや売上より利益率(資本効率)へ)も大きかったのですが、土地・株などが適正価格の方へ下降し、黒字幅も規制させられるようになりました。
政府は、介護産業等で、雇用を増やそうとしていますが、その需要をもっている層が、そんなに経済的余裕があるのでしょうか? 資本を余らせている層の資金を市場に引き出すことが必要なのです。投資活動で余った資金があるのなら、公共的な活動でもなんでもいいですから消費市場に引き出させることが必要です。