「政治は、全ての国民に最低限度の文化的生活の保障を」という中で、国の財政の借金、国民の借金、国民の持っている債権の全てを、ご破算に出来ない物なのでしょうかというのがあったので、ご破算とはどういうことなのか? 不良債権について考えてみました。
不良債権の処理とよく言われますが、その解決策として、政府の株買取機構や直接資金を銀行に入れる方法が取りざたされています。しかし、その資金は結局国債からしかもって来れないはずです。つまり、銀行の不良債権を顕在化させても大丈夫な状態にするために、それを国債に変えて、ふたたび銀行に抱えさせるということだと思います。不良債権の場合、個別の銀行の赤字になりますが、それを国債として抱え込めば、それは国の赤字分を各銀行が保管している状態になります。その原資には、不良債権で抱えている場合も国債で抱えている場合もいずれにしろ預貯金が当てられます。つまり、不良債権をなかったことにするのは、その分預貯金も無かった事にする必要があります。いずれにしろ、これだけのバブル崩壊があっても、中央銀行に国債を買わせてその資金を不良債権にあてて銀行システムを救うという方法をとらないで済んでいるのは、みなさんの莫大な預貯金がささえになっているのです。みなさんの莫大な預貯金が引き上げられたら、後は中央銀行の紙幣増発で対応するしか無くなりなす(紙幣の価値下落→強制的な資金調達)。
また、銀行とは、みなさんから資金運用をまかされて、それで利益を得て利子としてみなさんに還元する組織ですから、銀行が赤字になると言うことは、預貯金の元本割れを起こしていることになります。これが内部留保の範囲内ならよいのですが、それを超えたら債務超過になり、銀行倒産に発展しかねません。これだけの仕組みから考えるとわかるように、銀行預金とは、銀行の債権を買っているようなものではないでしょうか。ただし、この債権の信用が無くなると、大混乱(=取り付け騒ぎ=恐慌の引き金)が起きるので、保障措置がとられています。銀行が赤字になるということは、非常に危険なことなので、不良債権の処理も赤字にならない範囲内で行われるような力が働きます。将来的にも赤字体質(景気も関係するのでこの判断が難しい)と考えられる企業でも、資金の引き上げで不良債権に確定してしまうと、銀行の決算に響きますので、その許す範囲からプライオリティをつけて処理を行っていっているということでしょう。当然、銀行に国から資金を流入させて余裕を増やせば、それだけ不良債権を顕在化させても大丈夫というようになります。不良債権を顕在化させるということは、企業の負債を整理し(企業倒産につながる)、それをどういう形でか、銀行の赤字分(企業倒産による回収不能又は、回収金額を多くする為の借金棒引き)にするということです。