「朝日新聞」のシリーズ「テロは世界を変えたか」の10月26日付け「不破 哲三氏に聞く」篇を読んだときの感想を記します。
全体的には、常識的で、ほぼ賛同できるものでした。しかし、常識的すぎる感は否めませんでしたし、下記のような不満も残りました。
インタービューの時間制約や「朝日」の編集作為もあったのかも知れませんが、「国連による軍事行動は警察行動です」とか「国際社会が」とか「道理を尽くして」など、かなり抽象化された概念だけでの返答がなされており、不満を覚えました。どのような「軍事行動」までが「警察行動」なのか、「警察」は一般的に先に発砲はしないわけで、無条件に「警察行動」と擁護してよいものか。また、国連が実際にはいままでどのような勢力によって牛耳られてきたか。第三世界の諸国に対し、中国も含めた大国、ことに英語圏国家群が如何にアンフェアな裏工作をなしてきたかを無視して「国連=正義」とする、皮相的な考え方には一考をお願いしたいものです。
また、イスラエル・パレスチナ問題における不公正さをはっきり指摘されていたのはとても良かったですが、そのイスラエルの非道を裏で支えてもいる一部の国際金融システムという合法化された略奪実体による世界支配が、今回テロの一因でもあるということも強調して欲しかったですね。共産党なら余計にも。「朝日」の紙面上では無理かも知れませんが。テロも悪いけれど、実は、上記の支配のほうも負けず劣らず怖い。この日本ですら、ここ毎年2万人ほどある自殺者のかなりの部分の原因は、それに類するものによるものです。
それに、「朝日」記者の「経済制裁は一般民衆が苦しむことになるのでは」という質問に対して、不破さんの回答は納得できるものになっておりませんでした。よくされる不破さん流の強弁を感じました。あの式の強弁ってのは評判悪いですよ。他の幹部にも多く見うけます。練達の政治家の話法ではない。
悔しいけれども自民党なんかの政治家であれば、
「うーん。確かに具体的になると非常に難しい問題で、我党内でも、まだ固まっていない面もあるのですが、とりあえず、これまで国連やボランティアが地道にやってきた活動をぶち壊さない方向で、どのような制裁がテロ組織にのみ有効に作用するかを十分に党内議論し、具体的に提案していこうと考えております」
てな具合に「難題」を強調しつつ一歩退いて話します。こういうしゃべり方に、一般の日本国民は、つい親近感を感じてしまう。とにかく、内容にあまり説得力のない場合、我のみが正論なり風の強弁は、とても聞き苦しいです。誰でも不分明な点はあって当然です。分からないときは謙虚に分からないとする、然るべき話術というものは、幹部の皆さんに早く体得して頂きたいですね。
「民衆が苦しまない経済制裁の実現や如何に」なんてものは、かなりな難題です。第一、経済制裁でうまくいくとも思えない。それこそ、逆効果。広汎な民衆の反感を買ってしまいかねない。意図せざる側に追いやってしまうのが関の山ではないでしょうか。この件は、もっと、もっとよく練って頂きたいものです。
最後に、お笑い的余談(まるっきり、そうでもない)ですが、イスラム圏などの過激派の問題は、食習慣とも無縁でない気がします。あの方々には、もう少し、野菜を食べてもらわないといけない。これこそ、日本の出番です(笑い)。