当然ながら、経験がものをいう職種=職人的な職種はあいかわらず年功序列賃金が残ると思いますが、経験より新しい技術への対応力が問題になる職種では、年功序列賃金がやはり変わっていかざるを得ない部分があるかもしれません。最近は、IT技術の発達だけではなく、昔に比べて技術の開発部分に投入する人数の割合が圧倒的に多くなってきています。それに、流通機構も発達した分、新しい技術の浸透速度も速くなりました。その分、新しい技術の寿命がどんどん短くなっていき、常に新しいことに挑戦していないと時代においていかれる部分が多くなってきています。生活では、それほどではなくとも、生産技術の発達は顕著であり、事務作業の効率化も大いに進んでいます。つまり、経験より新しい技術の吸収力の方が重視される部分がどんどん増えてきています。
しかし、それは年功序列の崩壊を意味しているかもしれませんが、短絡的に高年齢の人より若い人の方が優れているということは意味しません。高年齢の人でも、常に挑戦的に新しい技術に取り組んでいる人は、当然若い人より優秀な技術を持つようになっています。それは、仕事の中で、そういうことに取り組む時間を作ってきたからに他なりません。労働時間を減らして、生涯教育を充実(現在の職場技能と離れた全く新しい段階の技能を学ぶ場)させていけば、行過ぎた年功序列の崩壊は少しは緩やかになります(何もしないでも、年をとれば給料が上がるという年功序列は、崩壊するしかないと思うし、それは昔より現在の分業化が進み単純労働の増えた職場の方がひどくなっている。→昔は、経験がものをいう部分が多かった)。
中国との関係でいえば、産業間格差の拡大である。中国で生産の可能になった部分とその他の部分の産業間格差が拡大している(労働分配率が同じようになることを前提とすれば、すべての種類が中国で生産されれば、中国と同じ賃金まで賃金レベルが下がっても同じものを手に入れられる)。産業間の労働人口の移動速度(不況下では、スピードが上がらない)を中国の生産発達速度が上回っているので、こんな話も出てくるのだし、その間に合わない部分は、政府保証も考えていくべき。
ぜんぜん別な話になるが、現在の退職金制度は年功序列を前提として作られているところがほとんどである。退職金の基になる基本給が減る事になると、退職金自体が減りかねない(工夫のしようはあるが)。それに、税金でも、同一職場に長く勤める方が、有利になっているし、退職金控除も退職金が年々増えることを前提に作られている(退職金の税金控除は、20年目まで、勤続年数×30万円。20年を過ぎると、勤続年数×30万円+(勤続年数-20)×50万円)。