2001/11/19付のまきさんの投稿「失業について本当の事を語る」を読みました。まきさんの投稿の力点が、「より好みをしなければ仕事はいくらでもある。」ということに力点があるのか、「人間お金が無くても生きてはいけます。自殺する必要などありません。」というところに力点があるのかはっきりしませんが、いずれにしてもこの投稿はものごとの一面だけを見て発言していらっしゃるような気がしてなりません。
政府の統計でも、2001年9月の一般職業紹介状況をみると、有効求人倍率(季節調整値)は0.57倍です。統計の詳しい見方はわかりませんが、求職者1に対して0.57の求人しかない、ということだと思います。仕事を求める人の数に対して、絶対的に仕事が足りないという現状を意味しています。
現代の失業の特徴は中高年に多いことです。中高年にしてみれば年齢制限が厳しい壁になっています。また、かりに仕事があったとしても、健康保険や厚生年金などの社会保険にも入れてもらえず、雇用保険も適用されないといった仕事が非常に多いのが実態です。日本は法治国家といわれますが、労働法規ほど無視され、脱法行為が多い分野はないと思うぐらい、底辺の労働事情は劣悪です。こと労働分野においては無法地帯に近いのが実態でしょう。
「給料が下がれば生活レベルを下げればいいのです。」ということでしょうが、食費を減らし、レジャーにかかる費用を縮小し、ということだけにとどまりません。中高年の多くは、家族をかかえ、住宅ローンをかかえ、子どもを高校、大学へ行かせています。中には年老いた病弱な親をかかえている人もいるでしょう。給料が下がれば、持ち家から借家にかえ、子どもが通う高校、大学をやめさせ、病弱な親を医者にもかからせないようにすればよい、こういうことになります。実際、このようにして生活の水準を切り下げざるを得ない人々が膨大な数にのぼっているでしょう。
「お金が沢山欲しいのなら新聞屋に勤務」すればよい、ということですが、このような厳しい労働に50代、60代の体はとてもついていけません。過酷で厳しい労働を無理をして続ければ、寿命を縮めることになります。自殺をしなくても過労死が待っている可能性さえあります。いくら「自殺をするな」といっても、寿命を縮めるという点においてはあまり変わりはありません。
自民党の議員のいうことを鵜呑みにされませんように。