12月31日付 川上慎一氏投稿文「新しい年を迎えて」中の誤認について
川上氏の論旨に取り立てた異存はありませんが、一点、誤認があるようなので通信しました。
「海上保安庁法「改正」案が、日本共産党が議席の一角を占める国会の中で、反対する政党とてなく可決されたということは、事態がさらに厳しいことを示しています。」とありますが、社民党は反対していますので、以下にその見解を引用しておきます。
2001年10月10日 「海上保安庁法の一部を改正する法律案」の取り扱いについて 社会民主党国土交通部会日本共産党の見解との違いが明瞭です。じっくり味読しましょう。
1.今回の海上保安庁法一部改正案は、第一義的には、いわゆる「不審船」対策とされている。1999年当時、社民党は、政府による自衛隊の海上警備行動発令を批判するとともに、「今回のような事態に備えるために、海上保安庁による沿岸警備体制を更に充実することを要請する」という趣旨の「自衛隊の海上警備行動に関する談話」を発表した。
2.その後、「不審船」対策として、海上保安庁は高速船艇の配備等の対応を図ってきたところであるが、今回の改正案に盛り込まれている危害射撃の容認は、「警備体制の充実」を踏み越えた内容であり、警察活動の諸原則を逸脱するものである。社民党は、以下のような問題があることから、本改正案に反対する。
(1)「不審」だからといって危害射撃を容認することは、警察活動を超えたものであり、「海上の警察」である海上保安庁が、軍隊並みの「武力行使」を行うことにつながることは、海上保安庁法第二十五条(この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない)の趣旨からみて疑問である。
(2)本改正案は、第一義的に「不審船」対策とはいえ、現時点においては、小泉内閣の進める「テロ対策」・自衛隊強化策の一環であり、「領域警備」に道を開くものとなっている。
(3)特に本改正案の内容が自衛隊法改正案で準用されることにより、海上保安庁以上の装備を有する自衛隊の海上警備行動の際の危害射撃を容認することになる。