1月8日の『赤旗』に「テロや不審船で正当化できぬ」との社説が掲載された。小泉内閣が企む有事立法に反対するとの趣旨は理解できるが、これまでの共産党の主張から見て疑問に感じる点が少なくない。
社説は言う。『だいたい「外国から攻められる」という口実に説得力がありません』。もしそうなら、なぜ先の党大会で「有事において自衛隊を活用することは当然」などと決めたのか。「攻められる」可能性、すなわち有事、があるからこそ、自衛隊を「活用」する必要があるのであり、これを否定する、すなわち「攻められない」のなら、自衛隊の活用自体ナンセンスではないか。
また社説は、『アジアでは軍事力でなく、話し合いで紛争を解決する平和の力が大きくなっています。』と主張する。これが正しいのなら、なぜ、米軍のアフガン空爆の際、各国向け書簡の中に「国連による、軍事力の行使もありうる」などと述べたのか。先に軍事力行使の可能性に触れながら、今になって、「軍事力ではなく」、などと完全に否定するのはどういうわけなのか。書簡発表後わずか一ヶ月の間に「平和の力が大きくな」ったとでも言うのだろうか。
さらに『不審船の監視や取り締まりも、(中略)海上保安庁の仕事です。』と言うが、今回のような銃撃戦や撃沈などの事態を引き起こしたきっかけは、今回「改正」された海上保安庁法によるものであり、これに賛成したのが共産党であることはいまさら言うまでもない。いわば、共産党こそが有事立法への足がかりを作ってしまった、控えめに言っても、協力したのではないのか。
共産党が、本気で今回の有事立法に反対する決意があるならば、これまでの自らの政策や主張を問い直し、自己批判を含めた総括が必要なのではないか。さもなくば、広範な国民を結集することなど不可能であろう。