本欄で、たびたびホームレスの人々への問題が取り上げられており、私も考えを述べてみたい。
最近では、主要ターミナル駅ばかりか、郊外の駅の周辺にも多くのホームレスの人が見られるのには驚かされる。深刻な不況により、仕事も、家族も、家も失ってしまったのだろう。それに対して行政や政治の対応は全く不十分であるとしか言いようがない。理由は明らかだ。まず、彼らには住所がない。だから当然投票用紙も届かない(市民的政治的自由の剥奪)。つまり政治家にとって票にならないからである。むしろ、ホームレスを排除するような「住民運動」の尻馬に乗るほうがよほど気が利いていよう(街ぐるみでホームレス狩りをするとは!)。
二つ目は、今とにかく仕事をもっている人が、賃金カットやサービス残業、さらにはリストラといった憂き目にあっても、ホームレスの人を見かけて、「あの人たちよりは、まだ自分の方がマシだ」と自己満足してしまい、その厳しい局面に対する闘いから遠ざかってしまうということも言えるだろう。要するに支配する側から言えば格好のスケープゴートなのである。
共産党は他党よりはホームレスの問題に取り組んでいるようだ(と信じたい)。しかし、もっと抜本的な緊急政策を今打ち出す必要があるのではないだろうか。