辻元氏が、秘書の給与のほとんどを自らの政治活動資金にしていたということは、明らかに詐欺行為にあたるのではないかと考えられる。国家は、政策秘書という役割に対して、予算の支出を認めたのであって、そのお金で政策秘書の資格をもたない人間を雇うことを認めたわけではない。確かに、制度的には、大きな欠陥を抱えているといえるが、もしそうなら、その欠陥を議論によって正すことが必要であり、それを捻じ曲げて運用してもかまわないということにはならない。
他の国会議員でも、寄付ということで合法性は得ているが、秘書給与をプールして、それを多人数の秘書で再分配するという方法がおこなわれているようだ。本来の趣旨からいって許されないことなのではないでしょうか。この制度自体に問題がある(仕事内容と給与バランスがおかしくなる-公設秘書のみ高水準の給与保証がなされる。長く議員を続けている人は政策秘書をもつが、新人は組織的なバックアップなしには政策秘書をもつことができない。等)ならば、その制度を改革して正常な運用ができるよう制度の改革に努力すべきであろう。
国会議員は法律を作る立場にある人間である。法の向け穴を探すのではなく、率先してその立法趣旨にあった運用に心がける立場であり、また、その法の運用を立法趣旨にあった運用にさせる立場にある。そして、もし立法趣旨にあわない運用がなされていたならば、その法を立法趣旨にあった運用がなされるように改善を促す立場になる。当然、立法趣旨そのものに問題があるのならば、その法を無視するのではなく、その問題点を議論を通して改善するべきである。
日本の社会では、この種のことが多く。結果的に、成果をあげるならば、その手続きを無視し続けるということがしょっちゅう行われる。その結果、その制度自体の改革がおざなりになり、その運用如何によって、うまく運用がなされる場合と全くうまくいかなくなり問題が頻繁におきるようになったりする。外務省のプール金問題にしても、初めは制度の不都合な部分をカバーするために運用されていたのかもしれないが、制度自体の改革を先送りしていたために、運用自体も大きく捻じ曲がらせ、問題を大きくしたもののように思われる。