朴念仁様から、論争の能力を高める必要性のご意見をいただきました。とんびの指摘にご応答いただきとてもうれしいです。朴念仁様は、日本共産党内や同党が影響力を有するとされる「大衆組織」の内部で自己満足せず、どちらかというと、他の階層や他の党派・理論的立脚点を異にする研究者とのディベート能力を高めることをお勧め、と解します。これもとても重要です。
とりわけ、現今の政治の舞台でいえば、外務省疑惑・鈴木宗男疑惑・加藤紘一事務所脱税等々を個別に告発するだけでなく、それらに共通する問題とその解決を根拠をもって提案できる能力が必要でしょう。その意味では、「野党」間の共同歩調だけでなく、同党らしさ(eg政党助成法の廃止、あっせん利得禁止法の厳格な改正、企業団体献金の廃止、消費税段階的廃止)を「税の労働者階級の立場での使い道について」としてもっと強烈に論じる必要を感じます。一時的に他の「野党」から白眼視されるでしょうが、かえって労働者やその他の勤労市民からの共感は高まると思います。
同時にとんびが述べたいのは、ディベート能力を高めるためには、同党や革新勢力内での異論の存在を認め、建設的論議を行うことが必要ということです。現在これが全くないとはもうしません。とんびの関連分野では、社会保障基礎構造「改革」とそれに関連した厚生労働省政策の評価および、今後の選択肢について、二宮友厚氏の2つの選択肢論(新自由主義的「改革」vs福祉社会建設論)と二木立氏の3つの選択肢論(市場競争至上主義の新自由主義的「改革」vs厚生労働省官僚支配の余地を残す二階建て型方式化「改革」vs国民と現場職員の立場からの漸進的改革)、の間での論争は大変興味深いものです。しかし、多くの分野では、概して活発とはいえず、何より多くの国民(同党員を含む)の目に触れやすい現状とは言い難い。
革新勢力内部で高め合う論議を活発にするためには、特に同党と日本のマスコミにより過去20年間に排除されてきた知的な方々への対応を見直し励ますことが欠かせません。つまり80年代前半から続いている、学術分野で、当時の同党中央と意見をことにすることを理由にした、批判とは言い難い論難や組織的排除の弊害に、向き合い克服することが必要でしょう。批判権が一部の幹部のみに過度に集中しているならば、これを改めるべきでしょう。
同時に、組織のあり方もその観点で見直すことが必須です。一介様が「組織論運動論欄」で詳細に論じられたように、「自由闊達な政策の論じ方」「胸のすく政策論争」「循環型組織」や「支部が主役」を本当に進めるつもりなら、支部をこえた人々のコミュニケーションやディベートは極めて有用です。知的水準と意志疎通のインフラストラクチャは、このサイトにみるように、日本ではある程度達成していると思います。以上の点は「リーダーシップ」や「行動の統一」と矛盾はしません。むしろ、中間機関を含め幹部がコミュニケーション能力を高め、多様な意見をもとに判断し運動を組織してゆくこと、これが今日求められる、そして技術面ではかなりしやすくなっている、と思います。
(補足)とんびの前信で「同党の4つの甘さ・欠損」と述べたのに四番目を入れ忘れました。ここにお詫びし追加いたします。
→④労働者階級の立場での経済財政政策の不足(eg.消費税への対応、スローガン倒れで地域的には反発されやすい公共事業費vs社会保障費の対比論)その結果として、政権与党および民主党・自由党・社民党に共通する新自由主義的「改革」推進論に対する本質的批判が欠如していること。(→「野党」共闘への限りない擦り寄り、と、民主党幹部からの「共産党ストーカー論」への反論不能状態、等々)