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少数派のエゴは、より大きな災いを招く

2002/6/18 バビロン、30代、会社員

 おちあいさん御意見ありがとうございます。今回の中野区長選の革新候補の健闘について、おちあいさんだけでなく、ichitakeさん、山本さん、の御三方が異口同音に意義があったと仰られる。しかし、そんな悠長なことをいっていられるのは、革新候補は負けたとはいえ、保守から比べれば、自分達も遥かにマシだと認めざるを得ない中道候補の勝利があったればこそでしょう。
 もしこれが保守が分裂せず、保守、中道、革新の三つ巴の戦いであったなら、保守の勝利は確実であり、中道、革新の共倒れであった訳です。おちあいさんがいくら、中道は市場原理主義で弱者切り捨てだと仰っても、従来型の利益誘導優先の保守が勝利していたなら、より大きな不特定多数の有権者の利益を損なう結果になっていたのです。そのことを顧みることなく、革新候補の健闘と意義を称えることは単なる少数派のエゴでしかありません。
 この少数派のエゴのもっとも分かりやすい例を上げれば、2000年のアメリカ大統領選におけるラルフ・ネーダーの立候補がわかりやすいでしょう。彼の出馬によりゴア支持である左派リベラル層のうちの僅かであるが、無視するには大きすぎる票がネーダーに流れてしまい、その結果、史上最悪、最低の大統領候補のブッシュJRを勝たせることになってしまったのです。ブッシュが大統領になることにより、ゴアならば、もっとちがっていたであろう、京都議定書へのアメリカの不参加、パレスチナ紛争の一層の泥沼化、国内テロ防止の不手際、アフガンへの軍事進行における数々の誤爆といったものが現実となったのです。
 ネーダーにすれば、ブッシュもゴアも碌でも無いという思いがあったのでしょうが、少なくとも、より碌でも無いのは、ブッシュであったのはなのは明らかなはずでした。しかし本来ならばゴアとともに、ブッシュ打倒に協力しなければならないネーダーが少数派としての存在意義に固執したために、結果ブッシュを勝たせ、ゴアが大統領になるより、より大きな不利益がアメリカ国民だけでなく世界中にもたらされることになったのです。