東大阪市長選は30日、投開票され、元NHK大阪放送局広報部長の松見正宣氏(59)=民主、公明、保守推薦=が、現職の長尾淳三氏(50)=共産推薦=と、前市議の東口貞男氏(69)=自民、自由推薦=を破り、初当選しました。長尾氏は全国で3人の共産党員市長。同党市長は東京都狛江市と秋田県湯沢市の2市となりました。投票率は46.99%。
清水前市長の逮捕、辞職に伴なう4年前の出直し選で長尾氏が松見氏に競り勝ち、初当選。今回は市政継続を有権者が支持するかが焦点でした。
しかし、対する自民党は、地元選出の塩川正十郎財務相(自民)が東口氏を、同市を地盤とする西野陽衆院議員(同、近畿比例)が松見氏を推し分裂。連立与党の公明、保守が、松見氏を推薦したことで構図が複雑に。各党の党首や幹部が次々と応援に入りました。
長尾氏は 公共事業の入札制度改革や地元中小企業の融資の拡充、国民健康保険料の据え置きなどの実績をアピールしましたが、無党派層に浸透し切れませんでした。
松見氏は、創価学会を支持母体に持つ公明の強力な支援と、連合大阪などによる徹底した組織選挙を進め、共産批判票を集めました。東口氏は塩川正十郎財務相に推され、「自民推薦」を前面に掲げましたが、党組織の分裂が最後まで響き、挽回(ばんかい)できませんでした。
当83066 松見 正宣=無新(1)・[民][公][保]、65508 長尾淳三=無現(1)・[共]、34338 東口 貞男=無新・[自][由]
長尾淳三氏が松見氏と東口氏の「塩川・西野代理戦争」に振り飛ばされた結果になりました。以前の革新陣営の選挙情勢の読みは「保守の2候補が出馬すれば双方の票の食い合いで我が陣営が有利になる」と言った安易な見方でした。4年前のいっせい地方選挙から保守・解放同盟本部派の複数候補が当選して日本共産党の候補者が落選しています。日本共産党や革新陣営が「保守・解放同盟本部派が複数候補が出ても当選する」と言う安易な選挙情勢論を改める時期が来ています。
長尾氏の敗因は、野党からの市議会の議事妨害の実態の説明が市民にわかりにくかったこと東大阪の中小企業の活性化、情報公開制度の拡充、国民健康保険料・介護保険料の値下げなどの運動が共産党との協力的な市民団体にしか門戸を開いていないことです。