私が野党共闘に対して厳しい目を向けるのは、組むべきとされる野党との間に、埋めがたい溝があるような気がしてならないからです。
私は今の日本で、一刻も早く治療しなければならない病巣は、政治が生んだとてつもない額の借金だろうと思っています。
自らが生んだ借金の重さに耐えかねて、今まさに日本経済が押しつぶされようとしているように、私には見えるのです。
本当に借金の額が巨大過ぎて、利子によって膨張する速度を考えただけでもぞっとします。
この借金を何とかするには、小手先で無い財政政策が必要となるのですが、共産党以外の野党の政策には、非人道的な方向性を感じてなりません。
それは、癒着の構造を残しながら財政カットと増税でまかなおう、という姿勢です。
例えば公共事業の場合にしても、本当に改革のメスを入れようという姿勢を、他の野党からは感じることができません。
公共事業の暗部は底知れないものがありますが、それでも明らかになってきた部分だけでも、救いようのないモラル破壊を見てとることができます。
井上前参議院議長の疑惑のケースなどは、非常に典型的だと思います。
井上氏の政治力で、公共工事を特定の業者に受注させ、その見返りとして事業費の5%を政治献金として受け取る。
結局、事業が縮小したことで、業者が「約束が違う」と怒り出して事件が明るみに出たのですが、このようなトラブルが起こらず、すんなりと行われている事業がどれだけあることでしょう。
またこのケースは、なぜ一旦決められた公共事業が、無意味・有害だと分かっても撤回されないのか、その答えも含んでいます。
既に事業の『旨み』が仲間内で分配されているために、事業は何としても完遂しなくてはならないのです(彼らにしてみれば)。
このケースからも見られるように、企業献金は100%ワイロです。
政治的な見返りを求めて金を出すのであって、例えばそれを「政党じゃなく直接国庫に収めたらどうだ」と言ってみても、絶対にそんなことをする企業は現れないでしょう。
癒着構造を打破するのに、企業献金の禁止は絶対的な条件ですが、それを大声で叫ぶことの出来る政党はどれだけあるでしょうか。
前回の東京都知事選で、各候補がTV討論したときに、共産党の三上氏が「公共事業費を半分程度にする」と言ったら、「東京をスラムにするつもりか」と周りから失笑されました。
モラル破壊によって、どうしようもない赤字体質が作られているというのに、全く問題視しない態度は同じく、どうしようもない腐敗体質と言えるでしょう。
こんな相手と果たして共闘できるのか、私はやはり厳しい目で見てしまいます。
財政赤字の解消は、こうした全くモラルのなってない税金の使われ方を見直し、その部分を削って借金の清算に回すべきです。
しかし癒着にバッサリと斧(メスでは足りぬ)を入れる意志がないのなら、膨張しつづける超巨額借金にどうやって対処すると言うのでしょう?
私は、小泉首相や民主党(下手すれば社民党も)などの考えていることは、非常に似通っているように感じます。
一言で言うなら『財政カットと増税で』。
癒着に対して充分にメスが入れられない状況での財政カット・増税は、何をもたらすでしょうか。
私は『日本株式会社の大リストラ』になる危険性が高いと考えています。
私は「共闘するな」とまでは言いませんが(議会内での各政策における共闘はアリだと思う)、選挙協力となると、本当に癒着に対して敢然と立ち向かってくれる、そうした相手と組むべきだと思います。
しかし長野の田中知事のリコールを見ても、本当に脱ダムに賛成してくれる政党がどれだけあるのか、疑わしく思いました。
もちろん各地方で事情は変わるのでしょうが、やはり見る目は厳しくなってしまいます。
今度また詳しく書きますが、私は今の政治状況を克服するためには、国民と政治の距離を縮めるしかないのでは、と考えています。
それぞれの選挙の投票率の低さは、危機的状況を選挙権で打開しようとしない、国民の意識を反映しているように思えるからです。
街頭インタビューなどで聞かれる、「誰がなっても同じ」「政治家は皆悪いことばかりしている」という意見は、民主主義政治、「民が主体となる政治」とはかけ離れた見解だと私は思います。
P.S. 獏さん、お久しぶりです。 中年暴走族的過激さとやら、楽しみにしています(笑)。