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ダムの問題点って、相当あるように思えるのですが…

2002/7/22 ウナギ犬、20代

 なんだか反論ばかりで人が悪くなった気分ですが、かわたろうさんへの反論を。
 かわたろうさんの説明はとてもていねいで整然とした理論なのですが、私から見ると逆に良い点ばかりが強調されてるように感じました。
 意図的なのかどうなのかは分かりませんが、欠点が軽く評価されているように思えます。

 例えば、ダムによって水質が悪くなることが書かれていないのは何故でしょうか。
 ダムは川という流れをせき止めるものなのですから、言ってしまえば淀みを作るようなものです。
 かわたろうさんも少し浚渫のことに言及していますが、もっと深刻な問題だと思います。
 ダムは定期的な浚渫を行なわなければ使えなくなってしまうほど土砂がヘドロとなって溜まり、これが水質汚染の原因となっているのではないですか?
 ダム建設への反対は地元だけでなく、下流の漁業民が「生活が破壊される」と抗議するケースもあります。
 湖を人工的に作ることで起こる生態系の変化、という言い方は美化しすぎてるように思えます。

 それと、ダムの放水のことなのですが、時間という概念に言及してないのも意図的なのでしょうか?
 川は流れであるのですから、時間あたりに処理できる水量を考えなければいけないはずです。
 例えば同じ水量の雨が降ったとしても、短時間の集中豪雨の方が河川の負担は大きくなります。
 同じようにダムの放水に関しても、川の許容量(時間あたりに処理できる水量)を越えた放水をすれば、やはり危険なことになるのです。
 降った量より放水量が多くなることはないから問題ない、という意見は失礼ながら詭弁の類に私には思えます。
 山間部に短期的な集中豪雨が発生し、それをゆるやかな速度で放水するなら確かにダムは役だっているのかもしれません。
 しかし貯水計画が長雨などによって破綻したとき、一気に放水すれば逆のことが起こります。
 ダムは保険とバクチの、二面性を備えた存在だと言えるのではないでしょうか。
 しかも最近問題になってる集中豪雨とは、山間部よりむしろ都市部に見られる現象です。
 これはヒートアイランド現象で短時間に激しい集中豪雨がおこる問題で、ダムとは直接関係のない話です。
 また山間部の集中豪雨を緩和しているのは、もしかしたらダムではなく森林や水田の働きによるものかもしれません(これはまた後で述べようと思いますが)。

 あと、ダムよりも堤防工事の方が金や労力がかかるというのは本当なのでしょうか?
 私にも具体的なことはわかりませんが、にわかには信じ難い気がします。
 というのも、堤防の補強が要請されているのは、河川のほんの一部分であって全体ではないからです。
 そしてこの場合も、川底を浚渫して深さをとるという一般的な手法が説明されてないのが気になります。
 本当にこうした治水工事がダムを超えた規模の予算になるなら、逆に政府や役所が推進しないはずはない、と思ってしまうのは私だけでしょうか。
 「そのとおり、政府は国民の安全を守るために、旨みのある堤防よりダムを作るのだ」と言われても、今の政治からはとても信じることが出来ないのですが…

 緑のダム、恥ずかしながらあまり詳しくありません。
 しかしそれが、森林や水田など「ゆるやかなダム」を作ることを指すなら私は賛成です。
 山間部での森林伐採や水田の消失が、山肌の保水力を失わせ、雨が降ったら雨水が一気に表面を「滑り落ちる」という危険性を、以前NHKの番組で放送していました。
 さっきも言いましたが、河川に負担をかけるのは短時間に大量の水が流れ込むことです。
 森林や水田などは雨水の移動をゆるやかに行ない、河川への負担を和らげています。
 私はダム建設よりも、こうした環境の保全に力を入れて欲しいと思うのです。
 あと、「木は渇水時に水を消費するからマイナス」という、かわたろうさんの見解にも納得できません。
 木々はただ消費してるだけでなく、根から吸収した水分を葉から蒸散、という形で大気中に放出しているのです。
 大気中に放出された水蒸気は雲となり、雨になってまた地上へと還元される、そういったサイクルの存在も忘れてはなりません。
 また森林や水田などは、河川とは別の地下水系を織り成します。
 その保水量は河川など表に現れているものよりずっと豊かである、と聞いたことがあります。
 渇水時でも、それらの潜在水系ではゆるやかに水の移動が行われており、その存在はやはり貴重なものです。
 けして渇水時にマイナスに働くものではないと、私は思います。

 それとダム建設の計画が、何十年も昔に立てられたまま変更されないケース、というのをニュース番組で見たことがあるのですが。
 最初は人口増加による生活用水の確保が目的だったのが、工事の規模だけ変わらずに、農業用水・治水と目的が変化してくるような計画が、本当に信頼出来るものなのでしょうか。
 しかも「農業用水も不足してる訳ではない」「むしろ水道の使用量を取られて困る」という現地の農民のインタビューを聞くと、「やっぱり無駄な公共事業なんだ」と思ってしまいます。
 このケースの場合ダムは作る時だけでなく、供給される(農業)水道料金も、役所の金稼ぎの目的となっているようです。

 別にダムが全く役に立ってないとは言いませんが、多くの問題を抱えているのも事実だと思います。
 私はダム建設は、役所と関係のない第三者機関(名ばかりでないやつ)に科学的な調査をしてもらい、その目的性・効率・環境も含めた安全性を充分に検証してもらい、その判断を最大限重視することが大切だと思います。
 諫早湾干拓のように、長期間調査が必要なのに行なわれなかったり、そういう行政の元ではやっぱりダムを全面肯定することは出来ません。