「リムジンガン」「つつじの花」「統一列車は走る」これらの歌にご記憶のある方はどれくらいいるでしょうか。
朝鮮民主主義人民共和国でつくられたこれらの歌は、日本のうたごえ運動でもかつて大いに歌われました。1970年前後、日本共産党周辺にいたことのある50歳以上の人々にとって、おそらくおなじみの歌ではないでしょうか。これらの歌に込められた価値観もまた、事実上、日本共産党のいわば容認のもとで流布されていたはずです。
私なども、個人崇拝には少なからぬ違和感を持ちながらも、金日成の好きな「つつじよ もおっともっと 赤く咲け」と歌ってのけていたものです。もっとも、あのころには、集会で上映される日本共産党のニュース映画に野坂参三議長や宮本顕治委員長が登場するや、会場から拍手が沸いたのですから、他国を笑えない五十歩百歩の党員気質だったといえます。
「リムジンガン」は「イムジンガン」の表記で現在でも歌われていますが、歌詞はだいぶちがっています。その時代を知らない若い人のために、うたごえ運動での歌詞を掲げておきましょう。
1 リムジンガン水清く 静かに流れ行き/鳥は川よぎり 自由に飛び交うよ/南の故郷へ 何故に帰れぬ/リムジンの流れよ 答えておくれ
2 哀しく水鳥は 南の岸で鳴き/荒れた野良には 虚しく風が立つ/幸せ花咲く 祖国の北の歌/リムジンの流れよ 伝えておくれ
さて、その後「足を洗った」身ではありますが、このような体験にどうけじめをつけるのか。現下の拉致犯罪問題を前に、ほぼ盲従に近かったあのころの自分をあらためて省察することしきりです。(南北分断や朝鮮戦争の問題、日朝間問題の歴史的経緯や補償問題、有事法制問題、はたまた日本共産党自身の「総括」の行方などとは別個にではありますが。また、「総懺悔」を提起する投稿ではありません。念のため。)
「思いもよらない痛ましい結果であり」などといえる人はシアワセです。