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選挙制度;空想から科学へ

2002/10/24 おくびょうもん、60代以上、ペンショニヤ

 高弘氏から、理想的比例選挙制度論が熱っぽく主張。が、それは、空想論では?
 日本の憲法学者は、フランスの憲法学を変容して、比例選挙を主張する。が、私の理解では、フランス憲法学が言うのは、社会的事実として、選挙結果が世論に近いと言うだけのことだ。世論をくみ上げるのに、だから比例代表制度がいい、というのは、空想論である。それは、株価が市場の人気度を反映するも、だからと言って株主に経営をやらせれば企業がよくなるわけでないのに似るものだ。また、社会科学的説明としては、憲法43条があるからだ。
 本条1項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」と書く。この解釈で、定説、がんがんの定説は、議員は、どのような方法で選ばれようと、いったん選ばれたなら、選挙民の意向を無視しても、リコールされない身分だ、選挙区民の代表ではなく、全国民の代表なんだ、とする。ゆえに、比例区で選ばれた議員が後に離党するも勝手だ。党は、除名は出来ても、議員資格の剥奪は不可(判例もあり)。要するに、議員は、どんな選挙方法によろうとも、「全国民の代表」なのである。
 では、いかなる選挙がいいのか?理想論=空想論は、大いにやってもらって結構だが、ここでも社会科学的=憲法的原理がある。平等原則だ(14条)。機会における平等では足りない、これに異論はない。が、選挙区割りと見直しの時間(4年に一度)、それに議員の利害が絡まって、1:2までの不平等しか許されないか、いやいや1:5までは仕方がないのか、奇妙な議論がある。私は、1:2までであり、裁判所が機械的に区割り調整をやれ、といいたい。
 さて、問題の小選挙区か比例区かだが、先にも述べたように、どう選ばれようと、議員は、「全国民の代表」であり、その自覚の元に動いていいし、動くべきなのであるから、本問は、選挙民(党員からねったきりの半ボケ老人までを含む)にとり、単純明快なのがいい。それには、小選挙区だ。さらに、日本憲法は、アメリカ憲法を”母”とする。承継しているわけであり、この承継論は、科学的事実であり論拠に出来る、なりえるものだ。周知のように、アメリカは、2大政党の国である。2大政党による政権交代、これが日本憲法の含む政治モデルである。そうすると、ここでも小選挙区制度が 社会科学的であることになる。
 日本の現状を見るに、落ちぶれたとはいえ、自民党が左右に公と保を従え与党をなし、他方で民主党を核とする(怪しいが)野党があり、ここに一応は2大政党が出来ている。
 あとは、ここでの政権交代がもっと気楽に出来ればいいのである。それには、私の主張する”落とす選挙”を追及することであろう。
 空想論は、大いに楽しく結構でもあるが、「では誰が鈴をつけるのですか?」で、ポシャリ、沈黙である。