民医連加盟の医療機関に勤める一労働者です。
京都民医連中央病院で起きた手抜き検査の不祥事について、総書記様、ノンポリ様とも、「共産党も謝罪すべき」旨のことを仰られていますが、共産党と民医連(そこに加盟する個々の院所・事業所を含む)との関係を誤解されているように思われます。
民医連加盟院所の医療活動と運動に直接責任を負うのは、当該院所の管理部であり、その経営主体である法人です(中央病院の場合は、そこの管理委員会であり、また経営母体である社団法人京都保健会)。確かに理事や職責者をはじめとして、職員の中に占める党員の比率が高いこと(でも、最近はその比率も減りつつあるというのが実感ですが…)、それぞれの医療機関には対応する党支部(規模の大きい病院の場合は、党委員会なども)が存在し、それらを通じて共産党の影響力が一定存在することは事実でしょう。また選挙の時期ともなれば、院所内の共産党後援会などの名で、患者さん宅へ支持を訴える電話がかかってくることから考えれば、院所側が党支部に患者名簿を提供するなど一定の便宜を図っていることは否定できません。選挙時の便宜供与の問題などは、今後、共産党と民医連加盟院所との適切な関係を考える上では、やはり課題としなければならないでしょう。
しかし、共産党が機関(地区委員会や都道府県委員会、さらには中央委員会などを指します)として、個々の民医連加盟院所の医療活動や運動、経営にまで直接責任を負ってくれるのかと言えば、それは当然否です。その院所にどれだけ党員が存在しようが、党支部なり党委員会なりが存在しようが、共産党が機関として院所・法人の医療活動と運動、経営の全てに責任を負ってくれるわけでありませんし、一職員の立場からすれば「そんなもの負ってほしくもない」というのが実感です。もちろん、院所に勤務している党員には、職員としての責任があるわけで、党員が院所の職員としての職務を全うしなかったり、あるいは不祥事を起こせば、その党員を政治的に指導すべき立場にある党機関の批判(院所内外からの)は免れないでしょうし、党機関も党員が起こした不祥事については、謝罪すべきでしょう。今回の中央病院の不祥事についても、手抜きを指示した検査技師、あるいはそれをわかっていながら従った職員が党員であるならば、指導すべき地区委員会なりが党員の不祥事問題として何らかの謝罪なり釈明をすべきとは考えます。
ただ、混同していただきたくないのは、民医連加盟院所と共産党は、院所の構成員の一定比率を党員が占めていたとしても、大衆団体(医療機関としての公的な役割もあるため、純粋に大衆団体と言ってしまっていいのか疑問はあるが)と政党という、性格も任務も異なる組織であり、医療・社会保障などの問題で共闘関係を組むことはあっても、所詮は別々の組織であるということです。したがって、一職員の立場からすれば、院所内の党員が起こした不祥事について党機関が謝罪なり釈明することは一向に構いませんが、院所としての事故なり不祥事に対して、共産党の地区委員会や都道府県委員会などが謝罪することは全く筋違いであり、却って迷惑としか感じられません。それは、自分がした不始末について、直接責任のない自分の友人にまで頭を下げさせるようなもので、後味が悪いものでしかありません。
とは言え、私は今回の中央病院の不祥事について、対応する党支部あるいは党委員会を指導すべき中京地区委員会なり、京都府委員会なりが何もしないでいいとも思っていません。民医連と共闘関係を組める共産党だからこそ、今回の不祥事については何らかの見解(謝罪ではない)を発するべきだし、率先して市会議員などが病院に赴き、関係者から事情を聴くなどのことはすべきだと考えます(ひょっとしたら、既にしているのかもしれませんが)。対応する党支部なり党委員会が真相究明や再発防止に取り組むことを促すことぐらいは党機関として当然すべきでしょう。そうしてこそ、共産党の信頼回復にもつながるのではないでしょうか?