日朝正常化交渉における不破提案(99.11)は、「ならず者国家」/北鮮に「泥棒にも三分の道理」を提供してしまった。いわく、「交渉ルートを開く前提条件に北鮮が存在しないとする拉致問題などをおいてはならん、まず日本の方から北鮮に戦前の侵略戦争と植民地支配によって与えた被害の補償を申し出ることから始めなければならない。こうしてルートを開いてから交渉の主題に拉致などをとりあげよ」。と。この提案は拉致が疑惑段階でしかない以上、それにふさわしい「足場を固めた」交渉を求めたものと、党は解説している。
それを現実的日程にのせれば、賠償を先に申し出て納得していただき、ならず者が気分を良くしたところで“恐る恐る毅然”と拉致疑惑の解明を提起せよ、ということになる・・と国民は当時、解釈し憤激した。
しかしルートは拉致を前提にした小泉首相の殴り込みが功を奏した。これは不破提案に現実的な道理がなかったこと、それが「当然の理性的な提起」などではなかったことを証明した。
更にこれが国家犯罪である以上、犯罪処理そのものをきちんと終えてから、国交樹立問題を正式に始めるのが正道だ。それがここへきて、犯罪を犯罪とも心得ぬ「ならず者国家」の屁理屈で混沌としてきた。この屁理屈を大きく支えているのが、冒頭の、問題をごっちゃにした不破提案だ。今や旧社会党系の不見識も暴露され解党寸前、不破指導部は失策のフォローに大童。その続きが兵本問題で噴火した(11.17.02、しんぶん赤旗)。
橋本敦氏の反論で、これでは党の負けだと気のついた点を指摘しておこう。
第一に、橋本議員から拉致について最大限の調査の自由を任された兵本氏が、韓国大使館訪問、二度の神戸行きを提案したのに対し、党が阻止を図ったこと。これは「ならず者国家」の地下犯罪を、奴らの言うに任せて疑惑にとどめ、追求しない党の姿勢を証明している。「棚上げ」の内実だ。いうなれば不破提案の不誠実の内部実証に転化する。
第二に、兵本氏が就職問題で警備公安警察に就職斡旋を依頼したこと。これを「党員として許されないのは当たり前ではないか」と居丈高の問答無用で除名理由にしている。あきれた「噺」が罷り通っているものだ。今の党が秘密結社のボリシェビキならこの言い分も社会的に是認されるだろうが、何の秘密もない天下の公党、国民の党を吹聴しているなら、国民の税金で運営されるどんな公的機関に職を求めようが、差別なく推薦すべきではないのか。自ら差別を立てて弾圧を誘導しようという根性は、宮本顕治と共に墓場に葬る時代ではないのか。党の陰湿性を天下に宣伝して革命を担えると思っているのがあわれに思える。 以上