私は、不良債権処理は不況対策にならないと思います。
銀行の供給力を上げても、けしてそれが社会の底辺に流れ込むことはないでしょう。
大体において、「借りたくとも貸してくれない」と言っているのは大資本ではなくて、不況で四苦八苦してる中小企業の方です。
しかし不良債権処理で回収されるのは、そういった経営の厳しい会社への融資であって、それがまた苦しい会社に注ぎ込まれることなどありません。
不良債権処理というのは、「儲からない所から資金を引き上げて、儲かる所に投資する」ということであって。
政府が言うような構造的改革にはならずに、社会を「勝ち組」と「負け組」に分離することになるでしょう。
不良債権処理によって会社倒産・失業者は増大し、日本全体から見れば需要は大きく落ち込むことになるでしょう。
この「需要が減る」ということが、経済にとっては決定的にマイナスです。
経済というのは、必ず需要が供給より優先されるものだからです。
例えば戦争景気はまさにそれです。
戦争で大量に物・エネルギーが消費されると、それを補おうと供給が伸びます。
不況対策では、「いかに需要を伸ばすか」が問われるのです。
今の不良債権処理は、需要を伸ばすことに繋がりません。
それどころか、逆に需要を減らすことになるでしょう。
不良債権処理によって落ち込むのは需要だけでなく、税収もです。
それが更に状況を悪化させます。
私は、今緊急にしなくてはならないことは、借金政治の仕組みを改善することと、少子化対策だと思います。
借金政治の改善にしても、今やってる市町村合併だとか社会保障の削減ではなく、やはり口利き型公共事業を何とかしなけりゃいけません。
未来の国民負担を減らす方向性でないと、結局需要は落ち込むばかりで未来はないと思います。