1年少し前、構造改革をぶち上げた時点で、小泉さんは官僚の怖さを知らなかったと思う。やってみたら、その抵抗のすさまじいこと。構造改革の看板である不良債権処理も、金融庁の官僚を説得出来なかった。1年少し前と比べて不良債権は増えている。
もうだいぶ前になるが、宮沢さんが、今後不良債権を処理しないとえらいことになるので公的資金を投入しようと言った時、都銀はそのとき公的資金は不要といった。これは大蔵省がそう言わせたと思う。公的資金を入れると責任をとる必要が出て来るからだ。日本の官僚の悪いところは、責任をとる必要が出てくると隠すこと。このとき経団連も反対した。何故銀行だけを助けるんだという論理で。野党はじめマスコミは反対の嵐。宮沢さんは先見の明もあったが実行することが出来なかった。
その後総理大臣は、細川、羽田、村山と続いたが正直申し上げて、バルブがはじけて何をする必要があるか、混迷が続いたと思う。その後橋本首相になり消費税が3%から5%になり、景気が悪くなり銀行の倒産が起こってくる。1997,8年だ。そして小渕さん。国債を100兆円出して、世界の借金王だとのん気に言っていたが、景気も浮上しなかった。これが循環型の不況でなく構造不況であったからだ。普通の不況なら、減税をやり、公定歩合を下げ、公共事業を増やせば上向くが、この不況はそうではない。構造不況であるからだ。
何故構造不況が起こったのか? それは冷戦の終結だ。ソ連のフルシチョフは共産主義がだめだと認識していた。しかし冷戦がある以上、共産主義を止めるわけにも行かず、続けたわけだ。中国も毛沢東が文化大革命みたいな馬鹿なことをやってくれたおかげで産業は発展しなかった。日本は世界の工場としての利益を享受でき、高度成長をとげた。しかし冷戦が終わると、アジア各地に工場ができ、中国にもトウ小平が現れ開放政策をやり、元々中国人は頭が緻密で良く働く。あっという間に日本に追いつきつつある。日本は空洞化になり、工場がどんどん海外にいく。ここが構造不況の大きな要因となっている。これは事実だ。日本は是非とも「新」を生み出す必要がある。それを生み出す社会の仕組み、教育システムの作り替えが必要だ。
日本の財政赤字はGDPの約10%。レーガン大統領がレーガノミックスで赤字を垂れ流した時で6%1960年代イギリスの経済が英国病を言われ衰退したときも6%。アメリカ、イギリスとも経済は大変悪くなった。しかし日本ではそれほど大変なことが起こらない。金利も上がらない。これは日本人が高齢化に備えて貯蓄しているからだ。あと7年もすれば猛烈な取り崩しが始まる。これが1300兆円ある。国、地方合わせた財政赤字が約700兆円。団塊より上の世代は食い逃げ状態だ。これに手を打つにはリミットがある。人口が減少する2007年までだ。こうなると税金が減ってくる。財政再建が出来なくなるからだ。今後4年間が勝負だ。