共産党鳥取県委員会が次期県知事選での候補者擁立を見送るという。2月11日付「赤旗」によると、県委員会が10日明らかにした見解は、全国知名度の高い片山知事の手腕に「県民要求に目を向け、党の提案にも耳を傾け…」と、高得点を与えたそうだ。確かに、記事の脇見出しにも「片山県政を評価」としっかり書いてある。
ところが、よく読むと、見解は「(片山県政には)過去の自民党県政の延長線上にある施策も残されている」とも述べている。これは県政批判だ。なるほど。県委員会としては「片山知事の功罪は半々。だから片山氏を支援しない。対抗馬も立てない」と判断したわけか。
しかし、ちょっと待ってほしい。伝統ある革新政党としてはあまりに主体性を欠いた、悲しすぎる結論ではないか。
片山県政で行くのか。それとも革新県政樹立に賭けるのか。党に求められていたのは、この最大テーマに責任を持った「決断」を示すことだったはずだ。「文句あらば立て。立たずば文句言うな」の精神に照らせば、今回の党の姿勢はあまりに頼りない。小泉総理に弓を引こうにも勝ち目がないとみて、自前候補を立てずに小泉総裁再任を許した自民党抵抗勢力の根性を見る思い、と言えば言い過ぎか。
こうした疑問は、知事選後の県議会活動にも向けざるを得ない。党は片山知事再選後も「野党の立場を貫く」というが、対抗馬擁立を遠慮申し上げた以上、県民から「共産党は野党でなく、ゆ党だ」と揶揄される可能性は大だ。今のままでは、片山知事を推す保守層、県政刷新を求める革新層のいずれからも後ろ指を指されかねない。
一方で党は、前回の衆院東京21区補選で支援した、あの川田悦子さんに独自候補をぶつけるという。鳥取県知事選では保守の片山知事に無抵抗。東京21区では、薬害エイズでの共闘相手に対抗馬。いくら地域の事情があるとはいえ、選挙区ごとに食い違う党方針を前に、有権者は面食らうに違いない。党には、国民に対する説得力ある説明が求められていると思う。
党内外のみなさんは、どうお考えだろうか。