海保が発表している引き上げ船上の写真では、台座と機関銃が別々で、機関銃自体の四足にも車が付いているように見えるのであるが、若し、一
体化しているものなら、前文Aで触れたように、台座の巾1メートル以上ある関係から、厨房室の70センチ出口からは、出すことは出来ない。
台座と機関銃は別々だとすると、先ず台座を2.4メートルほど、レールの無いところを移動してから乗せ、次に、機関銃を2.4メートル引きずってきて、台座に乗せるという馬鹿らしい作業をすることになる。
事件当日は【40度ずつ大きく傾く状態】(毎日)【波で船が60度も傾き】(読売)という状態では、転倒もするだろう。
厨房室は、3.6メートルほどだが、銃の台座が1メートルなら、移動距離は、2.6メートルだけ。
そして、壁に突き当たるのである。
問題のレールは、9月11日に、引き上げられた時よりも、“整形”されてお披露目したが、レールの中ほどで交差するように、建っていた筈の
厨房室の部屋壁の痕跡は、1ミリの跡形も無い。
そこに、部屋壁が有っては、物語の進行を妨げるから、“吹っ飛”ばしたが、同じ素材で部屋よりは粗雑に溶接されている筈のレールは、物語の
主役だから、しっかりと、残されている異様な態である。
同じように、長さ11.5×巾3メートルもの部屋壁が、跡形も無く、“吹っ飛”ぶほどの衝撃だというのに、レールと相関関係にある主役の固 定式の大型機関銃は、少し太い針金を五重の輪にしたようなひ弱い標準器ですら、何の変形も無く、“保護”されて海底から引き上げられた。
奇怪なことに、引き上げられた【14.5ミリ口径2連装固定式機関銃】は、5月3日の【A】1点だけなのに、【B】も【C】も出てくるのである。 (註、以下単に機関銃とあっても、14.5ミリ口径2連装固定式機関銃のことを指す)
5月に引き上げた、14.5ミリ固定式機関銃は、10月4日になってから報道陣にも公開、10月5日の読売、毎日などが〔機関銃〕の写真を載せているが、海保のホームページのと全く同じ、引き上げ作業船上で撮った写真である。
実物は、10月20日に、ドックの不審船収容庫で初めて公開されたが、展示された【機関銃B】は、[工作船から回収された対空機関銃「ZPU2」]と説明されているのに、発表写真のものとは違うのである。
決定的な違いは、底部の部分で、展示の【B】は、回転式のように機関銃本体の下面は、丸座になっていて、そこから三角形の平らな支え脚のようなものが、四角形の台座の端まで水平に伸びている。
その、三角形の平らな支え脚のようなものは、見える範囲では一ヶ所だが、前後の2ヶ所になっていると推定される。(本体と台座が一体化しているのかは不明)
その外、小さい違いが2、3ある。
引き上げ作業船上の写真【機関銃A】は、銃本体が四足構造になっていて、その脚先には、車にも似た形のものを履いており、台座の上に只乗っ
ているだけである。
【A】が乗っている台座は四角形で、中心の縦横が三分の一ほどの、楕円形状の穴が空いた構造のもので、中心部は空洞になっている。
更に、第3の機関銃Bが出てくる。
12月6日発表の、レールの巾と、機関銃の台座巾が一致したとして、説明に添えられた写真の【機関銃C】は、引き上げ作業船上の【A】でもなく、展示された【B】でもない、完全な回転式構造のもので、本体と台座とは、ボールトで固着されたように一体化されているものだ。
只、この写真は下部だけなので、機関銃であるかは、定かでない。
1丁の筈が、2、3も有るのは、如何にもお芝居の小道具らしい。
実物機関銃が公開された様子は、【公開には県内外から30人以上の報道関係者が訪れた。海上保安官が監視する物々しい雰囲気の中、30分の短い取材時間で慌ただしくメモを取り、盛んにシャッターを切っていた。】(南日本10/21)という。
小船や武器類“七つ道具”の初めての公開だというのに、こんな公開の仕方では、気付く時間も記者もなかっただろう。
じっくり観察されては、バレてしまう嘘を、海保は数多く抱え込んでいる。
雑荷を載せた鉄鋼板の屋根の下に、“壁に突き当たっている”レールが見える筈が無いのに、50センチほどの〔くぐり戸〕から、巾1.2メートル、長さ1.5メートルの砲身を持つ大型機関銃など入る筈が無いのに、【レール=即機関銃用=操舵室に存在】という図式が、事件当日写した写真で判ったという情報を、防衛庁が一部のマスコミに流していたということは、この“事件”の奇怪な一面でもある。
読売は、12月29日に【不審船、甲板に固定機関銃?】という表題の記事を載せている。
【不審船の後部甲板に、★固定型機関銃を甲板に引き出すためとみられるレール状の装備があったことが28日、海上自衛隊の哨戒機P3Cの撮影 した写真の分析で分かった。
………防衛庁が画像を解析した結果、後部甲板に★レール状の平行線が確認でき、操舵(そうだ)室などがある船橋から船尾に向かってまっすぐに 延びていた。…船橋内に隠していた機関銃をレールで甲板に引き出し…
機関銃ばかりでは無い。
その他の“特定の武器”を持っていることも、事前に判っているのである。
【小型ロケット砲の射程である約500メートル以内に入らず、追走しながら、停船のための船体射撃を実行するよう、指示した。】(朝日)
【不審船がロケット弾を隠している可能性を考慮し、その射程に入らない約1000メートルの距離から………】(毎日)
【携行型地対空ミサイル(を警戒して)哨戒機P3Cが追跡する際も、射程距離の5キロ以内にはできるだけ近付かないよう………】(読売)
不思議なことに、携行型地対空ミサイルも、小型ロケット砲も海底から引き上げられて、“予想”が、ピタリと的中した。
単なる可能性を警戒するのなら、数百類もの武器が想定されなければ筈なのに、特定の武器にたいする警戒を指示するというのは、【不審船あり】と通告したアメリカ情報の中に、折込済みであったことを窺わせる。
1月11日、米国務副長官の「北朝鮮船と確信」との、インタビュー発言 1月14日、米国務省報道官の「不審船の船体引き揚げ、協力の用意」という記者会見での発言………
確信に満ちたこの表明は、“事件”のウラを知り尽くしている感がある。
正式発表では、ウヤムヤにしたが、“機関銃を外に出した”と言えないのなら、巡視船あまみの船橋から出てきた14.5ミリの弾頭は、誰かの“ポケットから、落ちた”可能性を調査すべきだ。
“出した”というなら、1.2メートルもの機関銃を50センチの入り口から、どのようにして入れたのか、レールの正面右半分が壁に突き当たってから、どうしたのか、70センチの出口をどのようにして出したのか、明示すべきだ。
追記
甚だ僭越ですが、小生の拙文に興味を持たれた方、又は、共感される方が、若し、居られたなら、次のHPの画像をコピー保存されておくことを
、お薦めします。
http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/news/h14/fushinsen/index.html
http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/news/h14/fushinsen/joukyou.html
http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/news/h14/fushinsen/021212/index.html
http://www.nikkei.co.jp/topic3/photoelc/photo4.html
接舷、巡視船への攻撃
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/fushinsen/graph/20011225/01.html
http://www.yomiuri.co.jp/fushinsen/f20020911_42.htm
http://www.minaminippon.co.jp/2000picup/2002/10/picup_20021006_1.htm