新聞・テレビに向かうとき、私は身構える。大なり小なり、プロパガンダを演じる大本営発表であることは、自明の理。日本の資本主義は、今回の大量虐殺攻撃に、積極的に加担した。この原点を見失ってはなにもみえてこない。小泉の告白をきくまでもなく、私は直感していた。しんぶん赤旗は、今になっても、追随外交だのといって批判しているつもりだろうが、話にならない。どこまでも、甘ちゃんか。
イラク攻撃が、開始されてからの新聞をまとめてよんでみた。アフガン攻撃の頃よりは、少しは、イラクの視点・アルジャジーラの報道あり、フセイン、金正日のコメントも掲載か。朝日は、政治部は、「有事法」賛成の立場であるとか。が、社会面は、まだ少し、良識がのこっている。爆撃に泣き叫ぶ、子供の写真を大きく掲載。
アフガン攻撃のときは、それこそ、主犯とされたビンラディンの声明9割がカットされ、一、二行の過激な文脈のみを面白おかしく報じていた。あの、9・11のビル崩壊の疑問は、いまだ謎である。内部爆発としか考えられない様相、予め予定されていたかのような瞬間の、克明な映像。シュミレーションさながらのそれ。あの日1000人のイスラエル人の非出勤をどう説明するのか。突撃した飛行機の破片も隠蔽され、ビルの真下には、証拠といえるものはなにもないという。直撃直後、某業者との取引は、まことに手際よくなされたという。
こうした、謎の事件の首謀者を追って、アフガン攻撃が開始。当時、ビンラディンは、「もし、自分に罪があるのなら裁きを受ける用意がある」といっていた。タリバンは取引に応じていた。この間、ブルカといった民族衣装を標的に、タリバン政権の圧制がクローズアップされる。ブッシュやブレアの妻が、女性を代表して、「アフガン女性の解放」をうったえる。
朝日も赤旗も何もかも、こうしたシナリオにのせられて、事がすすめられて世論を誘導した。今回も、実によく似ていることである。ブッシュにとっては、アフガンはパイプライン、イラクは石油、いずれも、言うことを聞かない政権をつぶし、強奪するのが目的。アフガンの実態、タリバンの素顔は、ペシャワールで10数年活躍中の中村哲医師にきくべきだ、と思う。国会での証言さえも、議員たちは、野党も含めて、無視した。
私がイラクのフセインのことを、世論通りに受け取れない理由もここにある。表面的な、分かりやすい構図でさえあれば、人はとびつくのだ。
朝日新聞3月22日付「イラク戦争を問う」の辺見庸・川村晃司氏は、直接言及したこともあり、単なる作家・評論家のコメントといった以上の思いいれで拝読。
辺見氏の「小泉の支持には、イラクに結び付けて北朝鮮の脅威がほのめかされ・・『帝国の』絶対暴力が対イラク戦後、日本を出撃基地として一気に朝鮮半島に向けられるかもしれない恐怖のプロセスを小泉氏は是としている」のかと推測する。今、イラク攻撃反対を叫ぶことは、近い将来隣国との戦争を阻止することでもあり、4月には必ず通すといきまいている『有事法」をつぶすことでもある。
「情報操作に抗し実態を」の川村晃司氏は、最近のメディアの傾向として、国益と地球規模の公共の利益とが衝突した場合の選択を問い、戦争報道と犯罪報道とが、交錯する現象を心配する。そして、ジャーナリズムが、ナショナリズムに組み込まれてしまうのを防ぐ、孤独な闘いを強調する。
私たちは、本当に今、日本がどこへむかっているのか、自分が乗せられている船の正体は何か、かっと目を見開いてみなければならないのではないか。イラク攻撃だ、北朝鮮のテポドンだといっている間に、教育基本法や憲法がこわされ、戦争法すなわち有事法があっという間に仕立て上げられていくのではないか。
のんきなことはいっていられない。私たちは、死に物狂いで、今目の前にある戦争、イラク攻撃を阻止しよう。中東では、日の丸の旗がやかれたという。私たちは、立派なテロ国家になったのだ。