海保は、不審船に関わる引き上げ物に付いても、数々のウソをついている。
操舵室の屋根も、
厨房室の屋根も、
丸窓の付いたベニヤ板の壁も、
日本の漁船を示す登録番号が書かれた木片も、
海保の発表には、ウソがある。
12月6日に発表された、【九州南西海域における工作船事件の捜査状況について】の、【偽装のための設備】の中で、[船籍を偽装した木片]と[救命浮き輪]、
[船名を転写するためのアルミ版]、が揚収されたことで、沈没不審船は、船籍を宮崎と偽る装備していたと指摘している。
その大きさが示されていない[船籍を偽装した木片]は、MZ2-23○○と漁船登録表記され、(註、MZは宮崎の意。2は、5~99トンの意)下に丸窓が付いたものだが、この場合の表記文字の大きさを、漁業法施行規則第十三条に決められているタテ30センチとすれば、木片の長さはタテ3メートル、ヨコ1.5メートルにも及ぶものとなり、下方に付いている丸窓は直径30センチにもなる。(別のベニヤ板についているという丸窓は、20センチである)
航行中の長漁3705は、MZ2-23○○の登録表示をしていないから、何処かにしまいこんでいたということなのか。
何と馬鹿馬鹿しいことであろうか。
宮崎船籍を偽装するための登録表示の方法なら、タテ40センチ、ヨコ1メートル強の木片で済むのである。
様式第十一号(漁船法第十三条関係)
備考
一、文字及び数字の高さは、総トン数五トン未満の漁船にあっては、七センチメートル以上、数トン数五トン以上二十未満の漁船にあっては、十五センチメートル以上、総トン数二十トン以上の漁船にあっては、三十センチメートル以上とする。
二、文字及び数字の太さは、その文字及び数字の高さの五分の一を標準とする。
三、文字及び数字の間隔は、その文字及び数字の高さの三分の一を標準とし、その他の寸法は適当なものとする。
この[船籍を偽装した木片]を記事にした中央紙は、毎日だけだが、その毎日新聞は9月12日の時点でも、【木製の船橋部分の大半は脱落して
いた。】と、操舵室が木造であるように騙されてきたのであった。
航行している長漁3705の操舵室や船室の白ペンキの部屋壁は、至る所赤い錆び水の流れ痕があるから、一見して鉄製と判るものである。
それを木製であるというウソ情報を流した意図は、鉄鋼構造のものが『吹っ飛んだ』り『脱落』する筈のないことを、欺くためなのであろう。
[船籍を偽装した木片]の大きさを、付いている丸窓の径20センチとして計測すると、タテ2メートル、ヨコ1メートルの木片ということになるが、登録表示の文字は、20センチとなり違法が怪しまれることにもなる。
海保の発表には、船尾に表示していた船籍名【石浦】というそれぞれの文字の四辺に、アルミ板を挟み込む受け枠が付いていて、偽装するための宮崎の【宮】という文字のアルミ板が見つかっているという。
それが日本の船籍を偽る意図なら、とんだ間抜けのスパイ船ということになる。
日本の法では、
船舶法施行規則第四十四条
船舶ニ表示スヘキ事項及其表示方法ハ左ノ如シ
一 船首両舷ノ外部ニ船名、船尾外部ノ見易キ場所ニ船名及船籍港名ヲ十センチメートル以上ノ国字ヲ以テ記スルコト
とあって、日本船の船尾には【船籍港名】の上に【船名】を表示するのが通常であるから、宮崎という船籍表示だけなら違法船となり、敢えて“不審”を名乗るものとなる。
海保発表では触れていないが、【宮】という文字の[アルミ板]が見つかったのは、毎日新聞に依れば、陸揚げしたあとの12月初旬、《船内》で見つかったということだが、[船籍を偽装した木片]と、宮崎と書かれた[救命浮き輪]は、《近くの海底》から見つかったと、8月26日の毎日新聞が報じている。
木製品や人が沈むのを助けるための[救命浮き輪]が、250日近くも海底に在ったというのは、前代未聞の珍事と言うべきことであろう。
毎日新聞のニュースソースは、海保に由るわけだが、その記事内容は、【不審船の登録番号も、沈没後に鋼鉄製の船体から離脱した木製の船橋部分で見つかった。】と、騙され続けてきた『船橋が木造である』を基に、登録番号表示していた木製の船橋が破損離脱して、木片で回収されたかのような記事になっている。(航行中の長漁3705は、MZ2-23○○という宮崎船籍表示はしていない)
報道機関に流す情報は、即国民に対するものとすれば、海保情報のあり方は犯罪的だと言える。
前回既述の、【不審船というお芝居第三幕・引き上げの茶番(2)引上船は沈没船と違う】の中で、海底から引き上げられた、約4メートル×約3メートルの船橋屋根と、約6メートル×約4メートルの後部甲板室の屋根は、部屋巾が3メートルの沈没船のものではないと指摘した。
そのほかに、
10月4日の調査結果発表に依ると、9月14日に船橋側壁の一部と思われるものとして、
(その1)約1・5メートル×約1・3メートル
(その2)約1・4メートル×約0・7メートル
の、それぞれ20センチ、18センチの丸窓が付いた木構造物が、海底から引き揚げられたという。
この海保発表には、2つのウソがある。
航行していた長漁3705の船橋(操舵室)には丸窓は無く、前後左右の窓は、すべて四角い窓だけである。
丸窓には、二つのタイプがあって、採光目的の嵌め込み型と、蝶番の付いたガラス枠を開閉して通風出来るようにした型がある。
航行していた長漁3705の部屋壁は、一見して鉄鋼製と判るものだが、丸窓は、ボールトなどで、しっかりと締め付け取り付けられているものである。
海保発表は、単に【丸窓が付いた木構造物】としているが、9月15日の南日本新聞は、【十管によると、船橋の側壁2つは木製ベニヤ板で、縦1.5メートル、横約1.3メートルと縦1.4メートル、横0.7メートル。それぞれに丸窓があった。】と伝えているから、断熱を兼ねた内張り化粧板なのだろう。(西日本新聞も、船橋のベニヤ製側壁の一部を回収した…と報じている)
内装ベニヤ板は、直接窓に取り付けるものではない。
従って丸窓が、取り付けられている壁本体から離れて、内装ベニヤ板に付いて引き上がるなど、絶対に有り得ない虚構であろう。
住宅の窓は、家本体の一部であるから、内装のベニヤ板が窓を付着して離れる筈がないのと、同じことである。
海保は未だ其の木片を公表していないが、若し付着した状態だったら、作為に依る何らかの加作があったことになろう。
不審船に関わる海保らの発表には、数々の欺瞞がある。
テレビ放映された事件当初の不審船追跡状況にも、卑劣な工作がある。
奇怪なことに、追跡されている船と、接舷した巡視船に発砲した船とは、★★★船が違う★★★のである。