「80年史」を通して不破氏を批判しているS・T編集部員は、コミンテルンの思想を貴重な財産として自己の信条の柱にしているようだ。「さざ波通信」がそもそもそっくりこの堡塁によって言論の銃弾を日本共産党にあびせてきているが、そろそろ頭を冷やすころだ。
先ず現在の国民の知恵は、レーニンの思想が、70年の歴史の実験で、おぞましき20世紀のバベルの塔、砂上の楼閣にすぎなかったことを悟っている。27年テーゼも32年テーゼも、居丈高に、理論ぶって小難しく、真理にあらざることをふりまいた悪学の書の典型にすぎなかった、ことも悟っている。すべて、今更ほじくって引用し議論しあう一顧の価値もない。
翻って学説の始祖を訊ねてみれば、レーニンの「社会主義革命」も、コミンテルンも、「科学的社会主義」なる名称も、すべて「いかさま」の象徴であった。これを完膚なきまでに証明してい「た」のが、「共産党宣言」そのものだったことを、我々は知っている。
あらためて真摯なる編集部諸君にすすめる。『宣言書』をエンゲルス校訂の英語版で読まれよ。大内・向坂訳の岩波文庫版は肝心なところをレーニンにおもねって意図的な誤訳をしているから信ずるなかれ。まして服部文男訳は翻訳を騙ってレーニン的暴力主義を捏造する手本でしかない。
その『宣言書』をすなおに読めば、レーニンがマルクス・エンゲルスの思想に対する最高の裏切り者、背教者だったことを悟るはずだ。そうするとレーニンから離脱せんと藻掻く不破氏も、しがみつかんとする「さざ波通信」編集部員諸氏も、『宣言書』の著者からみれば、『蟷螂の斧』であることを自覚するであろう。コミュニストとしての悟りを得るであろう。
マルクスが『宣言書』で、すでに今日のグローバルキャピタリズムの止揚を、第二章末尾の『先進諸国で一般的に適用可能な諸施策』で指摘していることを発見して一驚するであろう。聡明なる頭脳エネルギーをこの解明に注いで世界人民に奉仕するのが、現代コミュニストの成すべき事にあらずや?