11日朝刊各紙の社説を比較してみた。
毎日はポジションをキープしている。平和主義と国連中心主義の確認である。
朝日は案の定、英米日の秩序には、こんな危険もあるかもしれない、と、けちをつけるのみである。
日経は、アラブ世界の反応をおそれている。アメリカに細やかな配慮を求めている。
産経は米英日の勝利を誇っている。しかし、実利より道義を語る。反戦派の道義は、フセイン政権のあっけない崩壊とイラク市民の喜びによって、反証されたとする。そして、イラクの戦後復興には、イラク国民本位の姿勢が大事であり、米英のベルファスト声明や川口外相の復興5原則をその点から評価する。敗戦国の国民重視が大事なことを日本の被占領体験から説き起こし、国連中心主義を廃して、国連活用主義を主張する。
ところが、読売は、今まで国連中心主義をかかげてきたのだが、ここにきて、日米同盟論一色になっている。しかも、道義を語るのをやめているのだ。結論は、国際社会において、米国がいかに強いか、そして、日本の安全保障において、米国との同盟がきわめて大事であり、支持しなければ切り捨てられてしまうということなのである。国益一点張りの主張の裏にあるのはなりふりかまう余裕のない不安である。
産経と読売はある意味で逆転した。これは何を意味しているのか。
すでに、産経の「国連活用主義」については「歯切れ悪い3.31産経社説」と題する2003/3/31のしんぶん白旗さんにより紹介されています。それは実質的な日米同盟論を国連のオブラートで包むものでしかなく、産経にしては珍しく歯切れの悪い主張になっている、とするものでした。僕はここではそれとは少し違う点を見た気がします。引き続き観察したいと思います。