確かに私の取り上げた見方は三つとも共産党側からの見方でしたね。高弘さんの仰る二つの見方が一般社会からの大方の見方であると思います。私はさらにもうひとつの見方を付け加えたいと思います。
それは「政権を取る」スローガンではないと言うことです。つまり共産党はこのスローガンをどの段階で実現しようとしているのでしょうか? まさか自・公・保の現政権に実現させようとしているのではありますまい。では共産党は現状、単独で政権を取れるのか? 1000%不可。ではどこかの党と連携できるのか? 社民となら多少可能性はあるでしょが政権を取れるほど議席を取れるとは到底思えません。有事立法を自民党と妥協した民主党とは可能性は全くないでしょう。と言うことはこのスローガンは永久に実現しないスローガンなのです。
国民にはこのようなことは普通の理解力があればすぐにわかることです。だから共産党が「なんでこんな正しいスローガンが支持されないんだ!」と思えば思うほど共産党に政権を与えるほどの支持を国民ははしないのです。それとこのスローガンに関して共産党にはもうひとつ自己矛盾があります。言うまでももなく共産党は「日米安保条約破棄」でしょう。では破棄したあとの「防衛力」はどうするのか? 現状の自衛隊を維持するだけでも軍事費は削れないでしょう。さらに北朝鮮の脅しだけであっても「核」、「ミサイル」に対して何らかの対応策をとるなら更なる軍事力増強が必要となるでしょう。
さらにこれは「脅し」ではなく日本国民を「拉致」する可能性のある工作員の侵入や工作活動に対して必要な対抗策をとるなら決して「軍事費を削れ」とはいえないでしょう。
共産党はすぐに「現行警察力で対応」、「いざとなれば国民的抵抗で・・・」などと言いますがそれが出来なかったから一説によれば100名以上の日本国民が北朝鮮に「拉致」されたのではありませんか! それでも仮に共産党が単独で政権についたら日米安保条約を破棄して自衛隊を解散していざとなれば「国民」に竹やりで抵抗しなさいと言う政策を実行するのでしょうか。
国民はこんな共産党に現実性を感じないのは当たり前です。だから私は「軍事費を削って福祉に」と言うスローガンは「現実の前には何の力もない」と書いたのです。
仮にこの世界に何の悪意もなく人間が暴力で争うことを全くしない生き物ならこの「軍事費を削って福祉に」のスローガンは美しい響きを持つでしょう。だが現実の人間社会はそうではないのです。
政党と言う組織は確かにある程度の「理想」を持たねばならないでしょう。しかし現実に選択できない「スローガン」を掲げつづけることは政党としての怠慢あるいは萎縮と言わざるを得ないのです。政権を本気で取るつもりがあるなら現政権をの政策を批判しつつも国民が現実に選択し得る政策を創造し国民に提示しなければならないのです。それが政党の責務であり、そしてその積み重ねの上に実現するのが「理想」と言えるでしょう。
共産党はその「努力」自体を放棄しているように私には思えます。それも相当の長期間に渡ってです。また多くの貴重な「人材」や「友人」を失いながらです。その体質を変え、失った損失を取り戻すことは益々難しくなっているように思えます。あるいはその時期を逸してしまったのかもしれません。果たしてそうなのか? 真剣に考えなければならない責務は共産党自身にあると私は思います。
どんなに「善人」がエベレスト(チョモランマ)が世界一高く、また美しい山であるからといって全ての人に「さあ、あの山の頂上に行きましょう!」と言っても誰もついてこないのは自明の理でありましょう。そしてその「善人」はやがて誰からも相手にされなくなるのではないでしょうか。