「にわとり頭」さんの5月20日付け書き込みでは、共産党は国防について「現行警察力で対応」とか「いざとなれば国民的抵抗で・・・」とすぐに言うそうなのですか。それならば共産党は軍事問題に関しては、何とも無責任なシロウト的な発言をするものですね。私は『国民のための 戦争と平和の法 国連のPKOの問題点』(京都市立図書館に蔵書あり)という小室直樹、色摩力夫共著の本を読んだだけですが、共産党に限らず、日本の平和主義者は戦時国際法について何も知らないようですね。
ヨーロッパで平和国家を標榜するスイスや北欧諸国では伝統的に戦時法規の研究と普及に熱心です。然るにわが国では小学校から大学に至るまでの学校教育のいかなる段階においても、赤十字その他の社会教育の場においても戦時法規の教育が完全に欠如しています。日本の平和主義はあくまで軍備の否定ですから、侵略を受けても無抵抗で全く軍事的措置は取らないというのなら、話はわかります。しかし「国民的抵抗」にせよ、何らかの軍事的措置を取るならば、戦時国際法を知らないのでは話になりません。侵略軍に対し、どんなに小規模でも実力行使で抵抗するならば、戦時国際法を知らなければ虐殺されても国際的には文句を言えないのです。
国際法上は戦場には三種類の人間がいます。即ち、A=戦闘には直接関係のない一般住民 B=戦闘行為に従事している「戦闘員」 C=戦闘行為に従事していながら戦時法規の定める要件を備えていない「非合法」の戦闘員です。Aは文民としての保護が与えられ、Bは名誉ある捕虜として待遇され、Cは非合法戦闘員と認定されれば、戦争犯罪人として遇される恐れがあります。すなわち簡単に殺されても文句は言えないですし、国際世論もCについては助けにくいでしょう。下手にCの非合法戦闘員が活動するとAの一般住民の中にもCが隠れ潜んでいるのではないかと疑われて、Aの中からも濡れ衣で虐殺される者も出てくるでしょう。
以前もふれましたが、武装平和主義のスイスの政府は『民間防衛』(京都市立図書館に日本訳著書あり)というパンフを各家庭に配っていますそこには「戦時法規は、軍服を着用し、訓練され。且つ、上官の指揮下にある戦闘員のみに対して適用される」「民間人及び民間防衛組織に属するすべてのものは、軍事作戦を行ってはならない。孤立した行動は何の役にも立たない。それは無用の報復を招くだけである」と書かれています。
上記のスイス政府の民間防衛思想に対し戦時国際法のことを何も教えずにただ単に「国民的抵抗」を訴えるとしたら、日本共産党は何とも無責任この上ない政党と言えるでしょう。
非武装主義でいくなら、たとえ侵略を受けても非武装主義での抵抗をすべきで、侵略を受けた際に侵略軍に対し小規模でも武力で抵抗するなら、初めから自衛軍を認めて他国からの侵略に備えるのがスジというものです。
わたくし個人としては、ヨーロッパの多くの平和主義国が取っているように武装平和主義路線を支持します。また国防軍にしても、かつての西ドイツが第二次大戦後再軍備した際の軍隊思想を支持します。すなわち軍隊を社会から隔絶した特殊世界にするのではなく、一般市民の感覚を持った者が従事できる軍隊、軍人も制服を来た市民であるという意識、そういう軍隊思想がよりよいものと思っています。
それから警察と軍隊との相違についても、上記『戦争と平和の法』に分りやすく書かれています。まともな論争をするためにも是非お読みください。