共産党ファン氏の投稿を拝読いたしました。そのなかで氏は「共産党は右傾化している」と述べられています。曰く、2000年総選挙において「党の政策を次々投げ捨ててまで政権入りにこだわった。」。その結果、「自民、公明、創価学会の異常な反共攻撃を呼び起こし...有権者の失望」を買い、「現在の後退」を招いた(2003年5月30日「右傾化の象徴不破氏」)と、指摘されています。しかし、思いおこしてみて下さい。この総選挙直前における政治状況は自民=公明連合による悪政にたいする国民の怒りが頂点に達していた時でした。総選挙直前の世論調査では「自民党政権を終わらせたい」という世論が圧倒的でした。選挙の議席獲得予想では、共産党が65から80議席獲得するのではないかという驚くベき数字でした。この時点で与党が過半数を大きく割り込むことは必死の情勢でした。だからこそマスコミが「共産党ははたして民主党と連立することがあるのか?」ということが現実の問題として焦点としたのです。
ところがこの時、共産党と民主党との間には国政の基本問題(特に安保政策)では政策的一致点はありませんでした。ここで共産党は、共産党と他の野党が総選挙において過半数を制し、野党による連立政権が政治日程上にのぼった場合の事を念頭において、安保政策その他の問題については現状凍結としつつ、破たん状況を呈していた財政再建と国民生活を改善することを一致点とした連立政権構想を提唱したのです。この呼びかけは大きな反響を呼び起こしました。そこで民主党の対応が注目されましたが、当時の鳩山党首も「共産党との連立は結構なことだ」と、言明しました。これは、国民の「自民党政権を終わらせたい」という要望とともに、政策的相違点を乗り越えて国民の期待に応えるために、野党が到達した英知でした。共産党のこれまでの連立政権論との整合性で考えますと、「よりまし政権」、「非核の政府」の呼びかけなどこれ迄にも提唱してきたそのときどきの国民の切望している問題に応え、政策的一致点に基づく連立という応用編なのです。
氏はこの問題の引き合いに、細川連立政権、社会党の問題をあげられました。しかし、これらの政権は「自民党政権を継承する」事を合い言葉にしたり、「安保自衛隊は合憲」とそれこそ決定的な「裏切り」をしたり、自民党政権の本質をなんら改革するものではなかったのではないでしょうか?それだからこそ国民の中になんら政策的足場を持たない彼等の政権はあえなく瓦解したばかりか、それらの党自体が」解体するというみじめな結果に終わったのです。また氏はイタリア共産党やフランス共産党の例もあげておられます。これらの党は科学的社会主義の路線を捨てたり、「社会主義革命路線」という路線が破たんし、ソ連に追従してきたという国民の批判に対して何らの総括もできないで、社会党による国民犠牲の政策に対して明確な立場を示すことができないということが、国民の支持と信頼の離反を招いているのです。
氏の議論でゆきますと、共産党が連立をする場合には「保守政党」が党の安保政策の転換を容認するという「良心」ぶりを発揮するか、共産党が」過半数に迫る議席を獲得する中でそうした連立が成立する以外には、「党の政策を次々と投げ捨てた」「右傾化」ないし「社民化」路線という国民の失望と怒りを買う「バベルの塔」を築き続ける事になるのではないでしょうか?
そこから話は戻りますが、2000年総選挙時に自公連合が共産党に重大な驚異を覚えると共に未曾有の反共攻撃を仕掛けてきたことは当然のことであり、国民の中に期待が高まれば高まるほど、彼等が必死にそれを押さえようとするのは階級闘争の弁証法です。短期間にこれを撃ち破ることができなかった事は残念ですが、これは今回の一斉地方選でもあらわれたように長期に渡る戦いであるとともに、彼等がこうした手段に訴えることしかできないことに彼等の政治的退廃と、衰退の徴候があることを見る必要があるとおもいます。もちろん、6中総が指摘しているように、党の力量そのものを強化して彼等を上回る政治的陣地を作ることも肝要です。
以上、「共産党ファン」氏の議論に対する私の見解をのべてきました。みなさんの活発な討論の一助になればと思います。