32号の雑録で、川上氏の論文を読み、大変共感を覚えました。特に「破綻した計画的な党勢拡大路線」についてです。私が在籍しているとき最も負担に感じていたのは赤旗の配達集金問題です。広い地域を一つの支部が責任を持たされて、それこそ小さな新聞販売店並みの実務負担をおわされているといったら、大げさに聞こえるかもしれませんが、たいした部数でなくても、点在した読者の家を広い地域にわたった配達集金を数人の労力で行うのですから、その負担は大変なものです。しかも、それぞれがほかに生活の糧を得るための仕事を持っているのですから。
川上氏が書いておられたように、今は主に地方議員や元議員ぐらいしか拡大の日常的な追求はしていないようですが、議員が拡大した新聞を配達・集金するのはたいていの場合、地域の一般党員なので、いきなり会ったこともない人のところへ地図を頼りに集金という事態が日常茶飯に起こってきます。人見知りするタイプの党員(年齢、性別を問わず)はこのことに、結構尻込みします。また、読者の方も議員への義理や付き合いという人が多いので、短ければ、2,3ヶ月で「やめます」ということになるケースが大変多いようです。まさに「ざるに水をくんでいる」ようですね。選挙前などで、がんがん増やされたあとほど、ざーっという感じで激しく減っていくのは、やはり、増やし方が強引なせいなのではと、いつも感じていました。
地域の一般党員は、まじめな人ほどいつも配達・集金という重圧があり、いい加減な人は、それこそ配達・集金がいい加減になり、減紙の要因になるので、真面目な人の負担は増すばかりという構図ができあがります。こうした活動が一人一人を精神的、肉体的に疲弊させて、ものを自分で考え、判断する力を奪っているように思えました。2000年の22回党大会以降、いろんな機会を見て、党中央への疑問を私が、他の党員にぶつけても、まともに議論の相手をしようとする人は、ごくわずかでした。「とにかく、あの不破さんがいうことだから正しいんじゃない?」みたいなとらえ方が、冗談でなく蔓延していることに愕然とし、失望をしてしまったのでした。
党籍を離れ、しばらくたちますが、今までよりも幅の広い人たちとの付き合いも増えて、いろんな人たちの言葉に素直に耳を傾けることができるようになった気がします。でも、今でも、さざ波の方たちや、川上氏を始め、さざ波の22回党大会討論欄であの決議に反対の声を上げた方たちを、同志と思っています。まさに、同じ志を持つ者という意味で。
「共産党」という船がどこへ行き着こうとしているのか、その船を降りてしまっても、やはり気がかりです。乗組員全員が、自分の船の行き先を考えることができるように、その船の舵取りをしている者は、その方向を乗組員にはっきりと指し示す義務があるはずです。「支部が主役」「双方向、循環型」の活動を言葉では強調しながら、中身を自転車操業の「新聞販売店」にしたままでは、破綻は目に見えています。このHPをごらんになっている現役党員の皆さん、恐れずに、活動の実態をここで出し合ってみてはいかがでしょうか。「革命的、献身的気概に満ちた活動」などと美化された機関誌拡大→配達・集金→減紙→拡大という実態を、もう一度客観的に見直す必要性が見えてくるのではないでしょうか。