市田氏はNHKの討論番組で、辻元氏逮捕問題に関して、「秘書としての実態がないのに、名前だけ登録して、それで受け取った給料を共同の経費に充てたという疑いがかけられている。これが事実だとすれば、その責任は免れないと思います」とかなり踏込んだ発言をされております。辻元問題に関しては、国会の参考人招致の席で、共産党も事実関係を質してますから、政党としての独自の見解を有することは当然です。しかし、この時期に、あのような形の発言は疑問であります。
一般に、検察は容疑者を起訴し、有罪判決を目指すのが仕事です。最終的な段階は、裁判を通して、裁判長の判断に委ねられます。裁判官も人間ですから、マスコミ等を通して、多くの情報に接しており、それが個々の裁判での判決で、特に、心情の面で大きく影響することは否定しようがありません。一方、検察側にして見れば、起訴しても、裁判で無罪となれば、担当の検察官の業績評価は低下します。ですから、世間の、強いては、将来担当するであろう裁判官の容疑者への心証を悪くするようなことも検察の仕事の一環です。今回のことでは、逮捕して、尋問情報を一方的に垂れなして、容疑者バッシングの世論を形成しようと意図していることは明白です。そのような時に、日本の有力政党を自負している共産党を代表して、検察側の逮捕理由をそのまま鵜呑みにするような発言する。これは容疑者バッシングに荷担し、検察側の仕事を助けることになります。
話は飛びますが、北朝鮮問題に関して、昨年の秋に、志位委員長は、「外交は政府の専権事項であり、限られた情報しかない中で、われわれはあれこれ言うことは差し控えます」(これはこれで大問題ですが)という旨の発言をして、北朝鮮問題には口を閉ざしました。その伝で行けば、辻元氏逮捕問題に関しては、今回こそ、「逮捕の時点から検察の専権事項となったのであり、限られた情報しかないなか、あれこれ言うことは差し控えます」とうのが正解のような気がします。民主党の岡田幹事長も情報が不十分との理由で、論評しませんでした。
共産党と社民党の間には政策・行動の面で一致するところが多く、社民党がこければ、それまでの支持者が政策的に近い共産党の支持に回るとの計算もなり立ちます。多分、そのような意図が共産党にはあると思います。政党として、実に分かり易い行動パターンだからです。日本の情勢から見れば、そのようなチッチャな票の奪い合いをやっている場合ではないような気もします。さりとて、革新勢力が大きく伸びる展望もなく、当面は共食いで生き延びるということでしょうか。
このように述べましたが、別に私は共産党を批判するつもりはありません。むしろ忠告したくらいです。私の周囲の女性には、あの田中真紀子ファンがいます。彼女には男性支配の社会が我慢ならず、その気持ちのはけ口として、真紀子氏を応援しているのです。そして、女性は多かれ少なかれそのような気持ちをほとんど本能的に持っているようです。今度の問題では女性ばかり逮捕されました。逮捕して調べているのは男性、テレビなどで偉そうに評論しているのも圧倒的に男性。社民党の支持者は女性が多いと思いますが、彼女らの間にそんなに動揺が起こらないとの見方もできます。逆に、結束が強まるのではないでしょうか。このところ、共産党関係で、セクハラ問題が相次ぎましたが、世の女性を納得させる措置をしているのでしょうか。検察官気取りで小ざかしいことを言っていると、思わぬところで足をすくわれかねませんですよ。