今回、志位氏のいわゆる「外部飲酒撤回発言」はいかにも拙かった。ごくごく近しい友人からも「お前とこの党は(私は単なる赤旗読者なのだが)、本当に“しなやかさ”がないなあ」と言われても、返す言葉がない。
知り合いの党職員に確認してみたところ、産経新聞に掲載されたような内部文書は目にしたことはないが、1970年代に赤旗記者が酒を飲みすぎた挙句、酩酊して些細な暴力事件を起こした時の記事の“主張”が配られ、これを痛切な教訓にしてはいるということである。
また、外部飲酒は原則禁止で、友人の結婚披露宴等どうしてもやむを得ず飲酒する際は、事前に党本部に届出を出しておけば許可されるとの話であった。
志位氏も新聞記者に「デートの時はどうするんですか!?」などとツッコミを入れられていたが、まさしくその通りで、この規則を額面通り守っている職員が、果たして何人いるのだろうと率直に感じた。
警察官などは、外部飲酒の際、絶対にひとりでは行かないこと、などの内規があるらしいが、お堅いイメージ(最近はこれも崩れつつあるが)の警察でさえ、この程度のことと考え合わせると、共産党の規定は、社会常識に照らしてもいかにも硬い印象は拭えない。
近年、川上徹氏や油井善夫氏の著作を読んで感じることは、党員が気の置けない者同士で集まり、酒を飲み且つ大いに盛り上がることは、究極的には、党幹部や本部に対する批判に繋がることを警戒している側面も否定は出来ない。
幕末の志士、坂本竜馬・高杉晋作などは酒を大いに飲み、天下国家を論じたと、ものの本にはあるが、ここまでいかなくても、共産党ももっと党職員の自主性に任せ、自由闊達な党風の育成こそ、国民から信頼される政党に値する道だと思う。
若者をはじめ、世間がどんどん右傾化する中、護憲政党の役割は今後貴重な存在になって行くとの認識のもと、共産党がこのような幼稚な問題で社会の糾弾を浴びることは、長年の支持者としても、やり切れない思いでいっぱいである。
もっと“大人の政党”に脱皮してもらいたい。