こう書いてあるのぼりをWPNのイラク戦争反対デモの期間中見かけました。このことは、これまでデモ隊に「参加しずらかった」という人がいたということを、象徴的に示しているのだと思います。
実際、わたしも何年も前にそういう思いをしましたし、今回も、わたしのいた「隊列」に女性二人が「入っていいですか?」と聞いてきたことがあります。
各団体ごと隊列として固まり、よそ者を受け付けない雰囲気をぷんぷん漂わせているのです。「仲間以外みな風景」とは、社会学者の宮台先生が現代の若者を描写する表現ですが、まったく同じ心理原理が働いているように思います。
そしてこの排除的雰囲気を象徴しているのが、「団体旗」でしょう。いかにも自分たちは特殊な団体でございます、と主張しているのです。自己顕示欲の現れともいえます。主張を書いたプラカードをもつでなく、ただ、自分たちの団体名を記した旗を掲げ持つのです。
イラク戦争反対を訴えるのに、「何某大学自治会」とか「何某組合」とか、その他もろもろの団体旗が目立つようでは、まったくのピンボケです。これでシュプレヒコールあげなかったら異様そのもの。左翼一覧表というのか、旗の見本市パレードというのか。
また、自省の念をこめてですが、これまでのシュプレヒコールは効果薄か逆効果。効果薄というのは、「戦争反対」とか「平和を創ろう」とかの単純な文句。逆効果というのは、「ブッシュを倒せ!」という攻撃的できつい文句など。
前者にたいしては「そんなの分かってるよ」と思う人が大多数でしょうし、後者を聞けば恐怖感やとっつきにくさを感じ、共感どころではない人がいるでしょう。実際、今回の7.20デモではそうした女性がひとりいました。デモ隊の中にすらです。前々回の700人から600人に参加者が減少したのはなぜか?
シュプレヒコールの目的は、自分らの気持ちの「結論的で素直な表明」ではなく、街の人たちの心を自分らの主張に賛同するよう、「戦略的に理由を説得」することです。
なぜイラク戦争・特措法に反対するのか、どうしたらそれらを理解してもらえるか、を最も効果的な言葉で訴えなければならない。
たとえば、世論調査結果を考慮しても、「自衛隊はミサイルで打ち落とされるぞ」などの主張が、イラク派兵への疑問を掻き立てるのに効果的でしょう。
要するに、「団体旗」はやめて、シュプレヒコールを見直して、デモへの共感と広範な市民参加を実現しよう、ということです。