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一般投稿欄

過剰な政治主義は民衆を犠牲にする

2003/9/1 未来派、50代

 2003/8/28 長壁 満子さんは 「北朝鮮の核抑止論――朝日新聞より」のなかで

  北朝鮮が、今現在、軍事最優先なのは、当然のことでし ょう。米国が桁違いの軍時優先とおなじように。アメリカ ほどの軍事力がない小国が、未曾有の狂気に対処せねばな らないとき、能力以上に構えねばならないのもまた、当然 のことです。国民の総意をまとめるのに、「天皇の赤子と なってーー」と、狂気した日本国民とよく似ていると批判 してみても、それは、天につばする行為です。
  15%の国民が飢えて苦しむ状況を、おせっかいに批判 する人が多いですが、日本の戦時と比較したらどうでしょ うか。しかも、米国にくらべれば、その戦力たるや、像と 蟻ほどの違い、その巨像に挑もうとする蟻んこを、よって たかって、絶対安全圏のなかから、いびりぬく。これが、 人間のやることですか。

 と言われています。
 こうした過剰な政治主義が今日の北朝鮮問題を平和的に解決する方向に導けるとは到底思えません。
 北朝鮮が冷戦構造の最先端にあったことは間違いないと思うのですが、朝鮮半島に\おいては一方で韓国が軍事独裁政権を自ら乗り越え民政化をはたしたことも事実です。
 今日の北朝鮮の危機は政治を経済に優先させた自ら招いた結果だとも言えるわけです。(朝日新聞 7/23 北朝鮮の素顔 には「崩壊した主体農法」ということで「金父子が現地で『こうしろ』と言ったことは、実情に合わなくても絶対に変えられない」という「民族助け合い運動」で訪朝した韓国のNGOの方のことばを書いています)
 ソ連が崩壊し、中国が経済の開放を進める中で北朝鮮が経済の失敗を隠して軍事優先の道を進むことではますます孤立を深め体制の崩壊を早めることになるでしょう。(その意味で、今度の6カ国協議はそれぞれの国が北朝鮮の急激な崩壊を望まず、経済の開放に道をつける方向で北東アジアの安全に担保を求めようとするはじまりなのかもしれません。万景峰92の大掛かりな安全性検査の実施も、一部には「船をいれさせるな」といった過激な発言もあるようですが、世論とアメリカに配慮した形を演出する一方で、北朝鮮に対しては非合法活動を認めないとする警鐘を発したもののように思われます。日本の政府もそれほどバカじゃないでしょう)

 戦争の爆弾で殺される民衆と、体制維持のもとに制裁や飢えによって殺される民衆とのあいだにどれほどの差があるのでしょうか。過剰な政治主義の犠牲になるのはいつも民衆です。国は民衆の生活と生命の安全を守ってこそ存在価値があるものであって、その逆ではないと思います。(かっての日本は「国体」維持を第一にしたため敗戦を遅らせ、沖縄の犠牲や、広島、長崎の悲劇を招いたのではないでしょうか)

 一方で、2003/8/30 417へきる さんが

「こんな国を擁護する必要はないし、朝鮮総連の人はオウムの信者のように{主体思想を}洗脳されている人が多いと思います」

といわれる言葉にも同意できません。
 在日朝鮮人が差別され、それと闘わなければならなかった歴史を見ずに(わたしもあまり勉強していませんが)カルトのように言われるのは差別を助長することはあっても相手を理解する何の役にもたちません。(ヨーロッパ人が日本人は天皇制という特殊な思想に洗脳されている人が多いと言うのとたいして変わりがないでしょう)

 アメリカの9.11テロの犠牲になった家族の中には「報復の戦争によって新たな犠牲を生むことを望まない」というような勇気ある発言をしたひともいました。
 戦争とテロの報復に対して立ち向かえるのは、寛容さであり、武器を持たないわたしたちにあるのは対話と相互理解でしかないと思います。
 武力の誇示による安全保障は核兵器による人類の滅亡を持った今日の時代にあっては、いつでも「そこにある危機」になっているのであって、自らのアイデンティテイを高めながら異質の価値観と対話交流して存在を認め合っていく方向でしか危機が避けられず、それ以外にひとの生存の道はないのだと思います。