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派遣労働者の実態について

2003/9/24 寄らば大樹の陰、50代、苦闘するフリーター

   この前の国会で労働者派遣法が改悪され、就業業務範囲の拡大(製造業へのシフト、もう何でも派遣がするって事です)、そして派遣期間の延長(3年への延長)などが可能となった。
 長期に及ぶ不況、若者・中高年の高い失業率、そして企業の即戦力雇用指向、この国の雇用情勢は、気軽な総理大臣の「構造改革なければ景気回復なし」のごまかしによってますます悪化している。
 この中で派遣労働者はそれこそ右肩上がりで急増している、ところがこれにはあるロジックが隠されている。
 大企業の工場、それも集約型作業を中心とする工場では、例外はあるかもしれないが今や正社員(正規雇用労働者)は過半にも達していない、実作業を行なっているのは「派遣労働者」であり、「業務委託業者雇用労働者」である。
 企業との直接契約である「パートタイマー労働者」すら切り替えが進み減少して来ている。
 では「業務委託労働者」とは一体何か?これは別の企業との雇用契約があるのに違う職場(企業の工場)に常駐して働く労働者である、同じ工場内で同じ作業環境で労働者派遣法等の制限も受けず、職場では何の保証もなく福利的恩恵も殆どなく、社員と同じ労働を行なう労働者なのだ。
 彼らには当然の事として労基法等は適用されるが、職場では団結権もなく社員に命令されれば従うしかない、差別された労働者である。
 「下請け労働者」にはまだ「帰るべき職場」がある、しかし「業務委託労働者」には帰る職場もない、不必要と判断されれば、それで全ておしまい、極めて不安定な条件下で働かされているのだ。
 雇用契約は当然、業務委託業者と締結される、業務委託業者は企業と委託契約を締結するのだが、この条件には作業工程ごとの件数あたり作業単価などが決められているだけである、労働条件などは殆ど決められていない。
 企業によっては労働実態は全く同じなのに、「派遣法は面倒くさい」とばかり委託への切り替えを進めいてるところもある、労働者派遣法は実態として派遣労働者を守るものではなく、抜け穴だらけのザル法なのだ。
 一方「派遣労働者」は派遣業者からきわめて高い賃金のピンハネ・搾取を受けている。
 派遣の場合、派遣業者との基本労働契約の他、業者は派遣労働者名を記載した個々の労働契約を企業と交わす、それには労働時間、時間当たり賃金(時間給)、若干の福利関連の覚書、苦情処理などが記載されている。
 しかしそこに記載されている賃金は、あくまでその労働者の労働時間に基づいて計算された、「企業から派遣業者に支払われる人件費」である、実際派遣労働者に支払われるのは基本労働契約に基づく賃金なのだ。
 だから仮に企業との契約による時間給が1500円としても、実際労働者に支払われる時間給は、そこいらの駐車場の駐車料金と変わらぬ800円等となるのである。
 社会保険料など負担はあろうが、この場合労働者は1時間当たり700円(47%)ものピンハネを受けているのだ。
 それこそ派遣業者は「ヤミ金」と変わらない程に労働者を搾取し、企業は時間給1500円を支払っても、ちゃんとぼろ儲をしているのである、馬鹿(ママ)を見るのは派遣労働者である。
 いま、若い人は企業に縛られたくない、自由に仕事を選びたいと派遣やフリーターで我慢している。
 しかしそれは同時に企業に、何時でも首が切れて、自由に対処できる安価な労働力として、自分自身を安く進んで切り売りしている事になる。
 あの労働者を一部エリート、その他は不安定労働で賄えという「日経連ビジョン」に進んで協力していることになるのである。
 ところがこの労働現場で労働組合は、目の前に展開されている状況に全く反応しようとしない。
 「派遣や委託は別の会社の者だから関与しない」と公言し、既に職場の過半を占め、場所によっては8割、9割を占めるに至っているのに、知らん顔をして見て見ぬふりを決め込んでいるのだ。
 既に派遣や委託の労働者がいなければ、工場そのものが成立しなくなっているのにである。
 確かに正社員にも、賃下げや労働条件の切り下げ攻撃が激しい。
 しかし同じ職場で同じ環境下で、おなじ仕事に携わる労働者が場合によっては正社員の半分の賃金で働かされている事に、何の関心も示さない「労働組合」とは一体何なのだろうか?
 これは「連合」でも殆どの「全労連」でも同じである、これらを放置して労働者の勝利などいつまでたっても来る事はないだろう。

 この投稿は日本共産党のサイトにある内容の薄い「製造業解除や期間延長が狙われる派遣労働とは」を見ながら、実際に労働者契約関連の業務を担当していた経験を照らし合わせての私の「苦い告白」でもある。
 この完璧な労働者差別を許していてはならない、各労働組合は真剣にこの事について取り組んでほしい、ほっとけば何れ足をすくわれてしまうのだからー。
 派遣労働者の皆様、自分が派遣先から稼いでいる時間給を一度確認されたらどうだろう,正直答えてくれる業者もいるかも知れないが、首を切られてしまう可能性もないとは言えないがー。
 もしおかしいところがあれば是非、お教え下さい。