今度カリフォルニア州知事選挙に立候補したシュワウッネッガー等の出演する映画には、その類の「想像上の殺し屋・テロリスト」がよく登場し、私達をハラハラ・ドキドキさせてくれるが現実の社会にはブッシュや小泉が放言するような「テロリスト」等はどこにもいない、テロ絶対反対派が言う「非戦闘員・一般市民を無差別・不特定に殺傷するテロリスト」など世界中どこをどう捜しても発見出来ないだろう。
欧米や日本のマスメディアがテロ組織と決め付けるのは、様々な国々、地域に存在して抑圧や圧制に抵抗し活動している、政治勢力であり組織である。
妖怪がヨーロッパに出没しているー共産主義という妖怪である 〔略)
政権の座にある対立政党から共産主義者として罵られなかった反対党がどこにあるか?
反対党で、自分よりも進歩的な反対派に対し、また反動的な政敵にたいして、共産主義の欄印をおして非難し返さなかったものがどこにあるのか?
マルクス・エンゲルス 共産党宣言
この若きマルクスの生きていた時代に、テロリズムとかの今風の概念があったのか浅学の私は知らないし、探求したいとも思わない。
しかし多少強引かもしれないが、このフレーズの「共産主義」や「共産主義者」に「テロリズム」や「テロリスト」を挿入したら、ブッシュや小泉また「テロ」絶対反対派の皆さんには殆ど何ら違和感もなく理解され、受け入れられそうに思えてならない。
特にパレスチナやイラク、アフガンなど情勢が厳しいところにおいては殆ど無修正で通るのではないだろうか?
勿論天国のマルクスやエンゲルスには、何回も何回も「ごめんなさい、ごめんなさい」と許しを請うしかないのだがー。
この「さざ波通信」を見ている人の中には「テロ賛成」「無差別テロ大賛成」の人など1人もいないと考える。いるとすれば悲しい事だが自分では何も考えようとせず、教えられた事に何の疑問も持たず、反対の意見を言う人に向っては「テロ擁護」、「テロ容認」と決め付けて、覚えこんだ教条で攻め立て、それでよしとする人がいることだ。
旧ユーゴではセルビア人、反セルビアの人々を問わず、時の権力に抵抗した人々は欧米のマスメディアによって殆ど全て「テロリストと指定された。今でも駐留するNATO軍に刃向う人たちはみんな「テロリスト」である。
パレスチナでもアラファト率いる政権政党PLO・ファタファも「テロリスト」としてアメリカ、イスラエルから指定され、党本部や幹部クラスがイスラエルのミサイルや戦車によって徹底破壊され、殺され、軟禁状態に置かれている。
一般の人々のインテファーダー(戦車への石投げ抵抗運動)からスタートして、イスラム教に基づく政治闘争や教育、医療等社会サービスを本業としているハマス(イスラム抵抗運動〕も「テロリスト」として、イスラエルのミサイルの標的とされ幹部も支持者も何らの容赦なく殺され続ける。
「パレスチナの和平」は少し前、兵役拒否し話題となったイスラエルの高校生ヤイール君が刑務所入所を前に明確に言い切ったように、「ユダヤ人がパレスチナから全部出て行くこと」でしかない。
そうでない限り、たとえハマスがつぶされ、アラファトが殺され、今建設中の人々を隔離分断する「壁」が完成しても、次の抵抗勢力が登場してまた新たなゲリラ(自爆も含む)闘争を闘い続けるだろう。
アフガン、イラクの闘い、またチェチェンの事は長壁さんに譲ずるが、まさしく今、この世界は戦争と国家テロに支配され、抵抗する人々にはその被害の何倍も、時には何百倍もの激しい「報復攻撃」が浴びせかけられる「戦争のない21世紀」の夢や理想とは全くかけ離れた現実が、支配する社会である。
そして戦争と国家テロの目的はイラク侵略戦争に典型的に示されている様に、小泉の言うような「強盗や夜盗の類」の騒動ではなくて、スーツ姿やカジュアルに身を固めヘリコプターや専用機を降りながら得意そうに手を振る、それこそ強盗や夜盗以下のつんとすました連中による、文字通り圧倒的軍事力を持った帝国主義国の資源争奪戦争、世界支配権を掛けた仕組まれた国家テロであり侵略戦争なのだ。
テロ絶対反対派の人は「今頃何言ってるんだ!」と目を剥かれるだろうが9,11世界貿易センタービル事件で亡くなった人の大半はアメリカ国内外を問わず、普通の一般のビジネスマンやOLではなく、経済的に「世界を支配してやろう」との野心に満ち満ちたエリート達であり、確か日本人被害者も金融や商社が多く、この国では「超」の付くエリートだった。
また同時に攻撃されたペンダゴンの被害者は、毎日戦争と効率的人殺しを考える事を職業に選んだ人たちが大半である。「9,11」でさえ決して「無差別・不特定のテロ」ではないのだ。
また別の面から見ると9,11二周年を迎え、これに関する報道もぼちぼち出て来ているが、あの事件の犯人もいまだに特定されず、一時期盛んに犯人と報道されたアラブ系の人たちが、政府機関関係者と接触していた人物で政府から資金提供されていたとか、丁度イラクの「大量破壊兵器疑惑」と同じような展開を見せている。
あの直後に起きた炭素菌ばら撒き事件も、結局は国外ではなくアメリカ産で、国際的テロではなかった。
イラクでの国連機関の「自爆テロ」も犯人はまだ特定出来ていないし、ナジャフでのシーア派への大量「テロ」もどこがやったのか殆ど判っていない。
はっきりしている事は「テロ」を行う事によって誰が具体的に一番の利益を得るかであり、それが即犯人だという事だ。
「国連へのテロ」であればイラクの占領され、抑圧されてきた人々にとって怒りのごく一部が晴れることはあっても、さんざん痛みつけられ、子供や家族、親しい隣人を殺され失い続けてきた人たちにとって、更なる弾圧を受ける事はあっても殆ど何の利益もない。
極めつけの私見だが、今のところ9,11を含めた「テロ」で一番得をしたのはアメリカ・ブッシュである。
9,11では大統領選の得票数で負けたゴアに借りを返すぐらい驚異的に支持率を高めることが出来たし、意にそぐわないアフガン・タリバーン政権を倒し、イラクでは父の仇、サダム・フセインを崩壊に追い込み、石油を独占する戦争が出来た。
また戦争後の「テロ」多発によってより露骨な治安弾圧がやりやすくなり、底についた戦費や兵員も、「テロ」を口実に多国籍軍策動などで日本や韓国、渋っていたEUにも負担させることが出来る。
「テロ」はブッシュにとっていい事ずくめなのだ。
繰り返しとなるがアメリカは過去より、その圧倒的軍事力とCIAを始めとてする強力な防諜機関を使い世界支配の為にさんざんテロ活動を表に裏に展開して来た。
このアメリカという異様な国の有り様を根本から断たない限り「テロ」は決してなくならない、それへの抵抗もなくなる事はない、犠牲は今後ますます増加する。
もう知ったかぶりの高みの見学は止めよう。
私達は今、映画を見物しているのではない、大国によって日々不合理に人々が虫けらのように殺される社会に生きている、そのことに怒りをもち、戦争を、少なくとこの秋、自衛隊が加担する事をこの私達の手でなんとしてでも阻止しなければならない。
これら戦争政策を積極的に進めようとする小泉政権を打倒しなければならない。
そろそろ「評論家風」など何の力にもならないピエロでしかない事に気づこうではないか!
そして今展開されている自民党総裁選挙の後、選挙を乗り切った小泉は大転換を図るだろう、野中という重石がなくなった以上,やる事に歯止めは一切なくなる、もう総選挙は待ってくれない、社民党に続き共産党つぶしが始まる。遊びは終わりである。