よくお伽話なんかで、魔法で幸せにしてもらったけど上手くいかない、やっぱり幸
せは自力でつかまなきゃ…というパターンがありますよね。
現在の共産党の、選挙対策とか拡大運動っていうのは、私はこのパターンに近い、
と思っているんですが。
私は、個人ではともかく、日本人全体の政治意識はとても低いと思っています。
例えば、選挙民がまじめに政治家を選ぶこと、選んだ政治家が公正な仕事をしてい
るか見張ること…
これらのことを、今まで日本人は随分ずさんにやってきたのではないか、と思って
います。
政治家を選ぶ基準についても、税金をひいき無しに分配する「公正さ」はそっちの けで、「自分達に仕事を回してくれる人」が良い政治家とされる、身勝手なことがま かり通っていたと思います。
それはテレビなどでは「ばらまき政治」と言われていますが。
けど、その政治を実行していたのが自民党であっても、それを支えていたのは、やっ
ぱり国民自身だと思います。
ばらまかれる利益を求めて自民党に投票した人もそうですが、利益と関係ない人が
選挙にいかないのも、ばらまき政治を維持させる要素となっている、と私は思います。
例え話をしますが、「あの政治家は私達に仕事を回してくれた、良い人だ」と思っ
てる人がいたとします。
私は、その人はもっと想像力を働かせるべきでしょう。
その仕事の資金はどこから出ているのか。
自分達が得した分、どこかで損をしている人がいるのではないか。
そうして世の中に目を向けてみれば、新たな疑問に気付くはずです。
なぜこんなに政治の借金が膨れあがってしまったか。
福祉予算が削られるのは、本当に少子高齢化だけのせいなのか。
今こうしてばらまかれる税金は、本来自分達の子孫が受け取るべき分だったり、病
気などで困っている人たちの分なんじゃないのか。
そして「政治なんか興味無い」と言っている人たちも、同様に想像してみるべきだ と思います。
悪政というものは、「悪い政治家」や「悪い役人」、「悪い商人」だけで作られる
物じゃない、と私は考えています。
「悪い国民」…というと語弊がありそうですが、政治に対して無責任な国民、とは
言えるのではないでしょうか。
そして民主主義においては、その国民こそが政治の基盤、政治の土台となっている
のだと思います。
だから私は、「良い政治」を実現したいと思うのなら、まず良い土台を作るのが本
筋だろうと思うのです。
「国民の政治に対する無責任さ」を、まず何とかするべきだと思うのです。
そこを抜きにして、「共産党はこんなに正しいんだよ」という宣伝や選挙活動を行
うのには、私は反対です。
私は、宣伝するべきは「自民党の悪政」でもなければ「共産党の正しさ」ではなく
て、「政治に無関心でいることがどれだけマイナスか」ということや、「良い政治が
行なわれるためには、貴方がたがしっかりと政治を見張らなければならない」、とい
うことだと思います。
国民の、政治に対する責任感を呼び起こす運動、それが良い政治への一番の近道だ
と私は信じています。
国民が政治を見張る役割をしっかり果たしていれば、良い政治家が政界へと自然に
送られるはずです。
その時、共産党が正しい政治を行っているならば、「こんなに私達は正しいことを
しています」という自己宣伝も要らず、自然に拡大・発展するでしょう。
逆に言うなら、「こんなに私達は正しいことをしています」という自己宣伝をして
いる状態は、国民のチェック機能が全然働いていない、ということなのだと思います。
だから自己宣伝中心の拡大活動というものは、共産党にとってだけじゃなく、政治 そのものにも極めてマイナスだと私は思います。