■北朝鮮問題から見えてきた「日本共産党」3
戦前・戦後の一時期、日本帝国主義と絶対主義的天皇制にともに命を懸けて戦った
韓国・朝鮮の人々、非転向を貫き「在日の星」とまで言われた金天海(ミムチョネ)
をはじめとする共産党員たち。そのほとんど全てが、金日成・金正日によって粛清さ
れた。
こんなことは日本共産党の党史には載っていいない。つい最近(2000年夏ごろ)北
朝鮮から逃げて、韓国に永住しているもと在日帰国者に会った。かれは、日本に帰り
たいが日本政府が認めてくれないし、生活保障も無いということでやむなく韓国で生
活している。 その彼が、「在日の星」金天海の話をしてくれた。
「彼(金天海)はりっぱな共産党員だった」「北朝鮮の幹部たちは権力を笠に着て威
張っていたが、彼は違った」「金日成や金正日にも言わなければならないことは恐れ
ず言った」、「そして在日の中で一番最初に粛清された」と。
スターリンが自分の政敵を皆殺しにしたように、金日成も同じ事をした。社会主義・
共産主義とは全く異なる鬼子が社会主義・共産主義の運動の中から生まれ出たのだ。
このことの意味するところはいったい何なんだろう? こんなことはマルクス・エン
ゲルス、レーニンも予想はしなかったと思う。世界の左翼勢力はこのことを理論的に
も実践的にも徹底的に明らかにしなければならないと思う。そうしなければこれから
の運動は進まないと思う。
他民族を同じ人間とは思わない「植民地主義」との戦い、強欲な「資本家階級」と
の戦い、「ファシズム」との戦いに大きな力を発揮してきた世界の共産主義運動。そ
の中から全体主義的独裁政権を生み出したことは隠しようのない事実なのだ。スター
リン、毛沢東、チャウシェスク、ホーネッカーを生まないためにも、理論的解明が必
要だ。
日本共産党は、この問題を避けるのではなく積極的に解明し、新しい理論展開と実
践をしなければ、日本国民の支持は得られない。このことを避けているのが今の日本
共産党だ。
その身近な課題は北朝鮮問題への対応だと思う。日本共産党は過去多くのいわれ無
き攻撃にさらされて来た。その多くは外国の共産党・労働党の尻拭いであった。スター
リンの粛清、中国の文化大革命や他民族抑圧、ルーマニアの腐敗と崩壊、社会主義国
の優等生東ドイツの崩壊と、選挙のたびにこれらを問題にした反共攻撃と必死に戦わ
なければならなかった。そして戦い抜いてきた。
だが、こと北朝鮮問題は今までの問題とは少し違っている。まず日本人が拉致され
たと言うこと。テポドン発射に見られるように直接日本に脅威をもたらす。ソ連、東
ドイツ、チェコスロバキア、ルーマニア、そして中国の文化大革命も直接日本に影響
は無かった。遠い遠い他国の問題であった。
しかし、こと北朝鮮は目と鼻の先にある隣国である。おりしも核問題、テポドン、
拉致問題によって日本国民はこの国に衝撃を受け、注視している。
拉致問題では日本共産党がイニシアティブを取れたのに、結局右翼にイニシアティ
ブを取られてしまった。朝鮮総連の不当な介入にもイニシアティブを取れなかった。
ここで、日本共産党は日本人と在日の利益を擁護できなかったのである。
なぜなのだろうか。結局、社会主義・共産主義の理想主義の色眼鏡を外せなかった
のだとおもう。60年代に北朝鮮に帰った在日は、「当時私たちは北朝鮮に対しピンク
の色眼鏡で祖国を見ていた。だからいくら悪く言われても、いくらけなされても、祖
国は灰色やブルーには見えなかった。見るもの聞くもの全てピンクに見えた」と。し
かし、そのピンクの眼鏡も厳しい直射日光にさらされるうちに祖国の厳しい現実が見
えてきたと言うのだ。
つづく